硬派なケイマン。

ノッチバックならば,話は違ったのですけれどね。


 ハッチバック・ボディであるがゆえに,運動特性に必ずしも直結しないミッドシップ・レイアウト。いささかもったいない,と思っておりました。ならば,「日常速度域で快適な」オープン・ボディをカジュアルに楽しむ。ボクスター,そのベーシック・モデルがいいと思っているのは,こんな理由なのです。


 ただ,剛性バランスをシッカリと見直せば,恐らく面白いクルマになるはず。ポルシェ・クラブ・イタリアはそんなアイディアを,ひとつのクルマにしました。



 ちょっとフットボールの話を書く気分ではありませんので,軽く屋号な話を。


 ポルシェのワンメイク,と言えば,“カレラカップ”が有名です。日本ですと,コックス(コックス・スピードと言った方が通りがいいひともおられましょうか)が窓口になって,964時代からカレラカップが開催されています。カレラ2の軽量化モデルである“RS”をベースに,ロールケージなどを組み込んだレーサーで戦われていました。現在はベース車両がタイプ997へと変更され,911GT3Cup(ポルシェ・オフィシャル)という,専用車両が用意されています。


 それだけでなく,ポルシェ・クラブ・イタリアは“ケイマン”でレースを戦おうと考えたようです。そこで,ケイマンの内装をストリップ・ダウン,ロール・ケージを組み込んで剛性バランスを整え,レーシングな環境に耐えられるボディを仕立ててきた。


 ・・・なかなかに魅力的ではないか,と。


 シロートで,ここまでのチューンを施すのは,楽しいけれど難しくもあります。ポルシェ・クラブ・イタリアは,ポルシェ・イタリアにマシン製作を依頼しているとのことですから,本社も一定程度コミットしているかも知れません。安心して,ストイックなマシンを走らせることができるわけです。


 このケイマンをベースとした“カップ・カー”,日本では公道に持ち出すことが可能だそうです。輸入を手掛けるテクニカルメイトさんのページを見ると,車検登録の前段階までで1300万円強(!!)で販売しているそうです。


 究極の走ってナンボは,クラブマン・レーサー的なスポーツ。そう考えると,確かに魅力的なクルマではあります。プライス・タグに関しては,「見なかったことにしたい(=で買いたいなどとは,恐ろしくて口にも出せない)」ですけどね。