対清水戦(08−32)。

機能で設計されていないパッケージ。


 いつもならば,1日ブランクを開けるところですが,その必要もないでしょう。


 このポイントを持ち出すだけで足りるような印象です。清水戦であります。


 さて。4−5−1と言いますか,4−2−3−1と言いますか。


 「奇策」を真正面から論じるのもどうか,と思いますけれど。


 アウトサイドを重視するはずのパッケージなのに,アウトサイドでの連携が図れないとはどういうことでしょうか。縦方向での流動性を意識した動きは,なかなか見られませんでした。それも当然。これまでは左右の関係にあった選手を前後の関係に配置するのですから,どう相手の動きを引き出すか,共通意識を持てるはずもない。右サイドにはディフェンシブ・ハーフでパフォーマンスを発揮する選手が入っている。加えて言えば,以前も指摘したかと思うのですが,攻撃,守備両面におけるハード・ワークが要求されるはずのポジションに,必ずしも適性を持っているとは思えない選手が配置されています。


 このパッケージで,選手の持てるパフォーマンスが存分に表現できるかと言えば,難しいと言わざるを得ないでしょう。


 さらに。1トップならばウィンガー,と言いますかオフェンシブ・ハーフとの距離感がバイタルなのに,距離感が適切な状態に維持された時間帯がどれほどあったでしょうか。そもそも,1トップとして位置付けられた選手はボールを収めて動きを促すのではなく,ボールを引き出すべく動いていくタイプであるはず。実質的な0トップ状態に陥りかねない静的パッケージだったように思うのです。


 指揮官が言う“ポジション・フットボール”とは,流動性を抑え込む方向性でのポジショニングなのでしょうか。それでは,タイトな相手ディフェンスを振り解くことは難しいでしょう。特に今節の対戦相手は,かなりしっかりとした守備ブロックを構築して,ボール奪取位置を(あくまでも相対的に,ですが)低めに設定していたように感じます。


 狙いは明確。カウンター・アタックを繰り出すことです。


 その形に多く嵌り込んでいたような印象です。


 加えて言えば。ボール奪取位置が不明確です。そんな状態が,このゲームでも継続されてしまっています。特にボール・コントロールを失った直後のディフェンス,そのイメージが徹底されていないように映ります。徹底的に追い込むでもなし,パス・コースを絞り込むようなディフェンスを仕掛けるでもなし。


 これでは,守備応対が不安定なものになってしまいます。


 戦術的なアイディアとして,4を持ち出したのは悪くはない,かも知れません。でも,4を実質的に機能させるためのパッケージが選ばれているのか,と考えると大きな疑問符が付きます。さらに,ゲームをイーヴンへと引き戻した段階でチームが思うように加速しません。戦術的に熟成されていないから,加速させようにもギアチェンジを有効に仕掛けられないようにも感じられますから,「加速できない」と言うべきかも知れません。


 のみならず,戦術交代面では完全に後手を踏んでいます。


 ポテンシャルを解き放つ触媒として機能すべき戦術的な要素が,逆に足枷になってしまっている。戦術的な側面から見れば,シーズン最終盤にもかかわらずチーム・ビルディングの初期段階に過ぎないような未成熟な状態に映ります。ピッチに立つスターター,ダッグアウトにいるリザーブを思うとあまりにもったいない,としか言いようがありません。