スパータン。

小型軽量,高出力なエンジンに,シーケンシャル・ミッションに。


 確かに,レーシング・マシンと言いますか,サーキットを意識したスポーツ・カーには絶好なパワートレインであり,ミッションであります。クルマの物理特性を考えるならば(つまりは,重心位置にかかわってくる話ですが),できるだけエンジンやミッションは小さい方が望ましいわけです。重量物をクルマの中心に集めやすくなるわけですから。ただ,なかなかパワフルなエンジンを見つけるのは難しいし,レーシング・マシン的なシーケンシャル・ミッションを捜すのも難しい。


 と,思いがちですが,意外なところに素材はある,と。



 ということで,今回はフットボールからは離れまして,レスポンスさんのニュース記事をもとに,限定300台のマシンについて短く書いていこう,と思います。


 オーストラリアのメーカである,スパータン社(英語)。カテゴリでヒントを示す形になっているのですが,彼らがマシンを仕立てるにあたって素材を見つけてきたのは,バイクだったわけです。それでは,インライン4を搭載するR1やGSX−R,あるいはCBRであったりZX−10Rか,と国産メイクスを基準に考えるところですが,スパータン社はドゥカティを選択しているわけです。レーシング・マシン,と書くのが適当かは別として,クルマの話でありながら,バイクとカテゴリ分けした理由がこれです。
 彼らのサイトで主要諸元を読んでみますと,“1198S”に搭載されるVツイン(と言いますか,Lツインと表現するのが気分だと思いますが)と6速シーケンシャル・ミッションを搭載,チェーン駆動とのことです。また,ペダル・ボックスやブレーキなどの記述を読むに,恐らくはレーシング・ユースな部品を使っているようです。
 彼らは基本的なコンセプトとして,フェラーリなスタイリングにドゥカティコンポーネントを組み合わせて,お手頃な価格で高性能なマシンを提供したかったとのこと。


 確かにこのスタイリングはフェラーリを思い起こさせる要素があるな,と感じます。
 とは言いながらも,現代的なフェラーリではありません。どちらかと言えば,250GTOであるとかP3,あるいはP4をイメージさせるようなデザイン・キューを使ってきているように思います。


 レスポンスさんの表現を借りれば,究極のライトウェイト・レーサーでありますが,それだけに相当「手強い」マシンかな,とも想像します。もちろん,現代的なスーパーバイクは穏やかな出力特性を持っていますが(電子制御で特性を切り替える,というバイクも増えてきておりますし),同じ排気量のクルマをイメージしてしまうと,やはり相当に鋭いのも確かでしょう。ナロー・ボディなポルシェのように,乗り手を試すクルマだろうと想像しますし,725万円相当をサッと払えるだけでは,このクルマの100%には近付けないかな,なんて思うところであります。