対抗戦とリーグ戦の統合について。

端的に言えば,「やっとテーブルに着く気になったか。」であります。


 ラグビー日本選手権で,大学チームが実業団チームの後塵を拝しはじめた。のみならず,ラグビー日本選手権の形態が大きく変わった。「実力差」が確実に開きつつあることを示しているはずです。


 実質的なプロフェッショナルに,どう対抗していくか。それぞれの大学がリソースを整備していくことも重要ですが,強豪チームがレギュラー・シーズンの段階でぶつかり合うことも大事な要素でありましょう。


 再び,楕円球方面の話であります。しかも,関東の話。


 関東大学対抗、リーグ戦一本化へ…協会に“検討委”を設置(サンスポ)であります。


 関東エリア以外のひとですと,具体的なイメージができないかも知れません。


 サンスポさんも指摘していますが,現状では早稲田や慶應義塾,明治が主戦場としている対抗戦Aグループ,そして関東学院や法政,大東文化などによって構成される関東大学リーグ戦1部,というように分裂した形でリーグ戦が戦われています。この2つのリーグ戦を将来的に統合することを「実質的に」検討する小委員会の設置が,関東ラグビー協会(JERFU)理事会で決定された,とのことなのです。


 大学ラグビーの活性化」


を検討することが主たる目的であるようですが,実際に2つのリーグ戦を考えてみると,Aグループや1部リーグにおいてトップ・・・とボトム・・・との差が目立ってきてしまっています。つまり,1部リーグと2部リーグとの間の格差が大きく,さらに1部リーグ内での格差もかなり大きいのです。勝負権を持っているトップ・・・にとっては,同じように勝負権を持っているチームとの対戦こそが重要な意味を持ち,逆にボトム・・・との対戦は強豪チームとの対戦に向けた「調整」のようになってしまう。これでは,あまりに不自然ですし,リーグ戦としても魅力があるとは言いがたい。関東協会も恐らく,同じようなことを考えていたのでしょう。そこで,活性化を考えるための組織を立ち上げた,と。


 この記事で触れられている,

 大学ラグビーのレベルアップ、選手強化のためにも、いままで以上にハイレベルの試合が求められる時代になった」


との荒井哲也・大学委員会副委員長のコメントは,まさしく正鵠を射たものではないか,と感じます。


 TL勢と真正面からの勝負を挑み,彼らを倒すという目標を「現実的な目標」としてチーム・ビルディングをしてきている早稲田大学。彼らの目標設定を,もっと他校関係者が感じてほしいと思うし,もっとハッキリ言えば,「打倒・早稲田」が日本選手権に直結して,TL勢と真正面からの勝負を挑むことができる,というイメージをリーグ戦の段階でイメージできるようでなければ,と思うのです。伝統校だから,であるとか,強豪校だからという色分けを言っている時はすでに過ぎた,と思っています。早稲田が示したように,TL勢に食らい付くことは間違いなく可能です。ただ,大学ラグビーが全体としてレベルアップしていかなければ,早稲田の試みは波及していくことがない。リーグ戦のレベルアップも,大事な要素であるべきだと思っていますので,今回の話は無条件に歓迎したいところです。


 すべての関係者が,「さらなるレベルアップ」のために協力してもらいたいですね。