ユニフォーム・サプライヤーのことなど。

ひとそれぞれにこだわりあるメーカ,と言いますか,サプライヤーがあるのではないでしょうか。


 実際にフットボール,あるいはほかのスポーツをしていたひとならば,なおさらに。


 たとえば,自分自身が使うものであればスパイクであったり,グラブやバット,あるいはラケットもそうですね。あとは部活動でジャージを買う際には,デザイン面を含めてどのメーカにするかというのがちょっとした話題になったりしたような記憶もあります。
 その規模が大きくなり,実際にプレーしないひとにもちょっとした影響があるのが,フットボール・クラブのユニフォーム・サプライヤー契約だったりするのではないでしょうか。


 そんなことをこちらのニュース記事(J's GOAL)やリニューアルされたJリーグさんの関連リンク(Jリーグ・オフィシャル),そのオフィシャル・サプライヤーさんに名を連ねている会社名から思うわけです。ちょっと見ると,サプライヤーとは思えないような会社さんもあり,逆に「通好みだなあ」と思うようなサプライヤーもあり,バラエティに富んでいて正直面白くもある。


 では,浦和はどうだったのか。ごく大ざっぱに思い返してみると。


 Jリーグ発足当初は,(“ランバード”マークではなくて“M”をデザイン化したマークだったですが。)ミズノさんが全クラブのユニフォームに対するコントロールサプライヤーとして位置付けられていました。いまでこそ,アウェイ・キットはホワイト・ベースですが,このときはどういうわけか,水色だったんですよね。


 その後,コントロールサプライヤーはアンブロ社へと移行します。この頃には,クラブが独自のユニフォーム・サプライヤー契約を締結するケースが出てきて,確か鹿島はエネーレと契約関係を持っていたはずですし,ヴェルディがナイキとの関係をはじめたのもこの時期だったかと記憶しています。
 このときの浦和は,リーグ戦とカップ戦でユニフォーム・サプライヤーを使い分けていました。リーグ戦ではJリーグのコントロールサプライヤーであるアンブロ社が仕立てたユニフォームを着用し,カップ戦では以前から浦和(そして,その前身である三菱重工(自工)サッカー部)との関係を持っていたプーマが仕立てた専用のキットを着用していました。


 思えば,この頃のユニフォームには相当なこだわりが詰め込まれていたな,と。


 アンブロ社の生地は,遠目から見れば確かに真紅なのですが,よく見ると駒場のシルエットが織り込まれている。そしてユニフォームの裾には,同じMUFCの略称を持つマンチェスター・ユナイテッド,そのクラブを代表する名将であるサー・マット・バスビーの言葉が入っていました。このあと長く続いたプーマの時代にも,レースアップ・スタイルのポロ襟を採用したり,その襟の裏にロゴを入れるなど,細かなこだわりが随所に発見できたのは,ちょっと楽しいものがありました。また,アウェイ・キットをちょっとアイボリーにしてみたり,背番号のフォントも見やすさとこだわりをバランスさせたものだったな,と感じます。


 そんなこだわりに,変化が訪れたのはやはり,ナイキ社がサプライヤーになった頃からではないでしょうか。機能的には確かに意味があるとは言えないポロ襟に決別し,限りなく襟なしに近いスタンドアップ・カラーを採用したり。


 プロフェッショナルとしては,単純なエキップメントの供給だけではない,マーチャンダイジングも含めた関係を意識しなければならず,そして当然契約金額という問題もありますから,完全なフリーハンドでサプライヤーを選定できるわけではないだろうことは容易に想像が付きます。
 クラブとしての規模が大きくなれば,必然的にワールドワイドに事業展開しているサプライヤーとの関係が密接になっていく。それも理解できるところですが,Jリーグが発足してからそれほど時間が経過していないとは言え,クラブとして培ってきたこだわりや伝統は強く意識してほしい,と思うのです。


 クラブによっては,それほどシーズンを経過することなくユニフォーム・サプライヤーを変更する例がありますし,それによってクラブのイメージをある意味では決定付けているユニフォーム,そのイメージが大きく変わってしまう例もあります。
 その点,浦和はひとつのサプライヤーさんとの関係が比較的長期にわたっている。こだわりを落とし込むには条件がそろっている方だと思うのです。


 機能的にはまったくのムダかも知れないけれど,レースアップ・スタイルのポロ襟が復活したり,ボタンダウン・スタイルのポロ襟が復活するようだと,ちょっと面白いような気がします。・・・ま,そうは言っても2007シーズン仕様のシンプルなデザイン,アレも嫌いじゃあないんですけどね。さらに言えば,強さを増せば印象はより強くなりますし。そちらを意識すべきかも知れません。