ストラッカ、童夢でLMP2へ。

オペレーションは本意ではない。


 このリリースにも明確に記されていることですが,すでにどこかで語られていたこと,でもあります。自分たちはあくまでもシャシーコンストラクターであって,レーシング・チームではない。チカラを持ったレース屋とのパートナーシップが締結できるのであれば,自分たちは本業であるシャシー開発に集中したい。けれど,実際にはなかなかチカラを持ったレース屋とのパートナーシップを組むのが難しく,仕方なく自分たちでオペレーションを担当しなくてはならなかったのだ,と。


 シャシーコンストラクターとして,シャシー開発に集中する。実際のレース活動については,経験豊かなレース屋に委ねる。過去においても理想として掲げてきた姿が,やっと形になるのだな,という印象です。今回はフットボールを離れまして,童夢さん(と,ストラッカ・レーシング)のリリースをもとに,ちょっと短めに書いていこう,と思います。


 HPDとの関係が深いレーシング・チーム。


 ストラッカ・レーシングに対する,個人的な印象です。HPDが仕立てた(実際には,ローラが開発したシャシーをHPDがモディファイしたもの,と見るべきかと思いますが。)LMP2マシンでル・マン24時間耐久のクラス優勝を飾ると,同じくHPDが開発したマシンでLMP1クラスへとステップアップ,というように,欧州でのHPDのレース活動を支えてきたレーシング・チームという印象が強いわけです。そんなストラッカでありますが,2013シーズンについてはル・マンを戦ったあとのプログラムをキャンセル,その後の活動が注目されていました。


 すると,童夢とのパートナーシップ,という話が出てきたわけです。


 このリリースで興味深いのは,ストラッカ・レーシングがS103(LMP2)のマシン製作を担当する,ということです。すでに,童夢ではS103(LMP2)の設計が開始されている,とのことですが,耐久レースを戦うにあたってどのような要素が落とし込まれるべきか,という「実戦的なアドバイス」は経験豊かなレース屋でないとできないこと,であるように思います。たとえば,アウディがR8(LMP1マシン)を仕立てるにあたって,設計に大きな影響を与えたのはヨースト・レーシングだったようです。彼らのアドバイスによって,“モジュール化”という発想がR8には落とし込まれたのだとか。同じように,童夢がいままで気付かなかったことを,ストラッカが指摘してくれるのではないか,と思うのです。そして,実際にS103をオペレートするストラッカがマシン製作も担当する,と。UKはレーシング・マシンに関連する会社が多く,マシンを仕立てるのに適した場所,と見ることができます。そのアドバンテージを最大限に生かしたい,ということなのでしょう。


 搭載されるエンジンは,LMP2のスタンダードとなったVK45とのこと。ということは,ザイテックやオレカ,あるいはローラなどとの「真っ向勝負」ということであります。2014シーズンからの実戦投入,とのことですが,ロケット・スタートな立ち上がりを見せることができるならば,このリリースにも明記されている「シャシー販売」,その大きな足掛かりをつくることになるでしょう。そうなることを,個人的にも期待したいと思います。