対鳥栖戦(13−33A)。

戦う前に,隙を見せている。


 「攻撃的に」という意識を強くし過ぎるがために,相手に付け入る隙を与えてしまっている。勝負弱い,という言葉も確かにあてはまるのかも知れませんが,相手の持っている強みを抑え込む,相手がかかえる弱みを的確に突く,という要素と,自分たちの強みを押し出していく,という要素とのバランスを大きく欠いてしまうところがある,というのが,「勝負弱さ」の中身ではないかな,と思います。


 アウェイ・マッチな鳥栖戦,であります。


 今回は,試合内容に踏み込む,というよりも,ちょっとチームとしての心理面を意識して書いてみよう,と思います。


 「勝ち点3」を積み上げること以外に,活路はない。


 拠って立つべきは,自分たちが指向してきた戦い方のみ。攻撃的に試合を動かすことで,活路を見出そう。論理的かな,と思わなくもありません。ありませんが,抜け落ちていることがあるように思います。「対戦相手」のことです。フットボールは対戦競技であって,相手よりも多くのゴールを奪うことが求められます。相手からゴールを奪うために,何をすべきか。ひとつには,確かに攻撃的な部分を表現すること,です。自分たちの強みを表現すること,と言い換えてもいいかも知れません。と同時に,相手の強みを抑え込むこと,相手が持っている弱みを的確に突くことも求められるはずです。相手がどう出てくるか,実際に感じ取る時間も必要ではないかな,と思うのですが,ここ数節,チームが「観察」をしている印象はありませんでした。


 相手の出方を冷静に確認しながら,どう自分たちの戦い方へと引き込むか。


 ナビスコカップ(準決勝第2戦)では自然とできていたことが,ここ数節はできていない。相手の出方を見る,相手の状態を見抜くという要素が抜け落ちてしまっているように思うわけです。相手を自分たちの戦い方に引き込んでいく,そのこと「だけ」に意識が強く傾いてしまっているように思うのです。そのために,攻撃的に仕掛けているようで,実際には相手に対して隙を見せている。ここ数節の対戦相手は,浦和が焦りを見せている,ということを見抜いているように感じます。


 狙うフットボールへの確信を深めるためにも,相手をどう自分たちの戦い方へと引き込むか,という要素を落としてはいけない。いまの浦和は,相手の戦い方を明確に意識して,その強みを抑え込む,弱みを突く姿勢が見えていない。守備応対面の問題,あるいは攻撃面での問題も当然にあるかな,とは思います。思いますが,戦い方のアンバランスが発生してしまう,その要因をしっかりと見つめないと,守備応対面や攻撃面での整理をしても,同じ轍を踏みかねないように思います。