対川崎戦(13−32)。

チームとして,明確なイメージを失っていた。


 残念ながら,そんな印象を受けた試合です。短めに川崎戦であります。


 立ち上がりだけを取り出すと,攻撃面でのイメージはしっかりと表現できていたかな,と思います。思いますが,やはり早い時間帯で先制点を奪い,主導権を引き寄せたい,という意識が強かったのでしょう,攻撃面に意識が傾いていて,チーム・バランスという部分で不安定性が垣間見えてもいたように感じます。


 このチーム・バランスの不安定性を,今節の相手は冷静に観察できていたようです。


 相手の先制点はセットピースからのものですが,このCKの前段階が今節の最も大きな鍵となる部分だったかな,と思っています。今節の浦和ならば,自分たちがボールを動かしてというよりも,シンプルに縦を狙えば決定的な形へと持ち込める,と相手に意識付けてしまった局面だったように思うのです。


 それでも,前半終了段階までで見れば,(攻撃面に意識が強めに入っていたとは思いますが)バランスを意識した戦い方ができてもいました。問題は後半,1−1としたあとの時間帯です。この時間帯に,相手が狙う形へと,自分たちから嵌り込んでいってしまった。


 相手は,守備の網を掛けるべきエリアを低めにセットしたように感じます。中盤,それも高めのエリアでボールを積極的に奪いに行く,というよりも,セントラル・ミッドフィールドと最終ライン,その中間エリア付近の安定性を最優先に考えて,このエリアでしっかりと網を掛ける。浦和にボールを持たせて,攻撃圧力を高めるべく前掛かりになるタイミングを冷静に待つ。バランスを崩したタイミングで,鋭くカウンターを繰り出す。


 残念ながら,今節にあっては川崎の方が冷静に対戦相手を観察することができていたし,戦い方をその観察結果によって微調整することができていたように思います。


 自分たちの強みをしっかりと表現することが重要なのは当然です。ですが同時に,相手の弱みを冷静に見抜き,その弱みを突くという部分も重要ですし,相手が持っている強みを抑え込むことも重要です。今節にあっては,相手の弱みを突く,そして相手の強みを抑え込むという部分で欠けてしまった要素が多かった。中野田で,今節と同じ対戦相手に対してカップ戦でできていたことが,リーグ戦ではできなかった。


 この要因は,「内側(心理面)」にあるのではないかな,と見ています。


 「勝ち点3」を奪わなくてはいけない,という部分は共通認識として当然に共有されていると思いますが,どのようにして勝ち点3を奪うか,そのための戦い方をどう組み立てるか,という部分で,ひとつの明確なイメージを描ききれてないようにも感じられます。たとえば,試合を落ち着かせるべき時間帯,反対にラッシュを仕掛けるべき時間帯,その落差を思い描いたフットボーラーがいるとして,そのイメージがチーム全体に共有できていなかった。心理面が,チームとして描き出されるべきイメージを曖昧なものとしてしまったように思うのです。


 勝ち点3を積み上げていかない限り,首位にプレッシャーを掛け続けることはできない。確かにその通り,ではあるのですが,プレッシャーを掛けるべき対象が自分たちになってしまっていたのではないかな,と思うわけです。プレッシャーを自分たちに掛けてしまったことで,チーム・バランスを不安定なものとしてしまったり,微妙な,しかし決定的なズレを自分たちからつくり出してしまったのではないか,と。攻撃面,守備応対面という内容面の話ではなくて,心理面で「原点」,あくまでも首位に対して挑みかかるべき立場である,という部分に立ち返るべき時期なのではないかな,と思うのです。