受け継がれるべき旗頭。

旗頭はつくれるものではない。


 そんな印象を持っています。


 ですが同時に,どんな時期であっても旗頭であると強く感じられるフットボーラーは存在しているように思います。明確に誰から誰へ,という形ではないにしても,自然に受け継がれていっているように思うのです。ともすれば,すでに受け継がれている,かも知れません。


 であれば,個人的にはそれほどの心配はしていなかったりします。


 まだ,暢久選手について何かを書こう,としても,考えがまとまらないところがあります。2013シーズンが終わったら,何か書いておこう,と思っていますが,まだ書けないな,という感じです。野田選手にしても,永田選手にしても,何かを書くにはちょっと早いかな,と思っています。そこで今回は,こちらの記事をもとに,あえて俯瞰な視点を使って書いていこう,と思います。


 安定している部分と,不安定な部分とが共存していること。


 矛盾する要素を並べてみましたが,フットボール・クラブにとってはこの矛盾する要素をバランスさせることが最も重要なのかな,と思っています。広川さんは山道強化部長のコメントをひいていましたが,恐らく山道さんは安定させるべき部分と,意図的に不安定さを持たせるべき部分とのアンバランスを感じ取ったのかな,と思います。いまのクラブは,安定サイドに傾いているのではないか,と。もちろん,いまがそのときなのか,という見方はあると思いますが,クラブに何らかの刺激,不安定さをつくり出すべきタイミングだ,という意識があったのかも知れない,と思います。


 プロフェッショナルとしてのキャリアを浦和でスタートしたフットボーラーが,いつしか浦和の「旗頭」と位置付けられるようになった。そんなフットボーラーに対して,契約満了という判断をするのですから,影響が小さいはずはない,と思います。思いますが,いつか必ず訪れるタイミングが,この時期だった,という見方も(フットボーラーとしての暢久選手,彼が持っている能力を思うと,適切なタイミングだとは断じて思ってはいませんが。)できるのでしょう。


 むしろ,「これから(2014シーズン以降)」が大事かな,と思います。


 チームにとって,クラブにとって暢久選手の存在はいつしか大きなものとなっていたと思います。まさしく,バンディエラとしての存在感を示していた,と。であれば,暢久選手が抜ける穴は決して小さくはないはずです。それでも,抜けた穴をしっかりと埋めていく必要があるし,できるならばより強い基盤を構築していかないといけない,とも思っています。山道さんは,リスクを背負ってチームとクラブに刺激を与える,という道を選んだ。当然,そのリスクに見合うリワードを計算しているはずですし,計算していなくてはいけない,と思っています。


 この決断によって,チームには間違いなく大きな刺激が与えられることになります。この刺激は,新たな「旗頭」を引き出すきっかけとしても作用するはずですし,そうでなくてはいけない,と思っています。暢久選手へと受け継がれた旗頭としての立場は,必ず誰かに受け継がれなくてはならない。そして,その「誰か」は遠からず自然に見えてくる(あるいは,すでに見えている),とも思っています。