FIM・WEC第2戦(鈴鹿8耐)。

12時間でもなく24時間でもなく,8時間という時間枠。


 この8時間という時間枠が,鈴鹿8耐を特徴付ける大きな要素になっているのではないかな,と思うのです。耐久レース,という正式名称を持ってはいるけれど,実際にはスプリント的な色彩が強い。そのために「強さ」と「速さ」がしっかりとバランスしていないとポディウムの頂点に立つのは難しい。


 チャレンジング,などと評価されるコースで,スプリント的な色彩を強く持つ耐久レースを戦い,勝ちに行く。その勝負権を持っているチームが絞り込まれるのはある意味,当然のことかも知れません。と,何事もなかったかのように書きはじめましたが,いささか長いお休みをいただいてしまいました。なかなかエントリを書く余裕が持てなくて,休業期間が長くなってしまった次第です。まだまだ更新頻度が低空飛行状態から抜け出せないと思いますが,書いておこう,と思うことはちょっとでも書いておこう,と思っております。お越しいただける方には申し訳ない状態が続いてしまっておりますが,いましばらくの間,ご容赦下さい。


 さて。鈴鹿8耐であります。


 予選段階で存在感を示したのは,YZFでありました。最近の鈴鹿8耐にあっては,ファクトリー・チームの存在感がそれほど強くはありませんが,ヤマハはファクトリー・チームと評価できる体制を組んでいます。彼らが,技術協力という形で鈴鹿へとコミットするメーカに対して先制攻撃を仕掛けた,という印象です。


 ですけれど,耐久レースにあっては予選順位が大きな意味を持つ,とは限らないのも確かです。耐久レースもレースですから,「速さ」がなくては勝負権を持てないのは確かなのですが,速さだけというわけにも行かない。8時間を戦いきれる「強さ」がなくてはならないのです。その意味で,予選で「抑えていた(かも知れない)」ホンダの動向は不気味に移ったのですが,やはり決勝を意識したセットで予選を戦っていたようです。ただ,ホンダ勢もアクシデントから100%逃れることはできず,今季のレースでは優勝候補であったTSRは転倒からリタイア,という結果に終わっています。



 このレース,頂点に立ったのはホンダ勢の一角であるHARC−PROさんであります。彼らと同一周回の2位に入ったのがヨシムラです。・・・優勝チームであるHARC−PROさんの写真ではなくて,ランナーアップであるヨシムラさんの写真を使うところが,ヨシムラびいきであることの証明のようなものでありますが,ご容赦下さいませ。そして,3位に入ったのは,芳賀選手,ケヴィン・シュワンツ選手とともに鈴鹿へと参戦してきた加賀山選手のチーム,であります。というように,スズキのチームが存在感を見せた決勝ではなかったかな,と思います。また,鈴鹿8耐はどうしても,鈴鹿を熟知する国内勢が強みを見せる傾向が強いのですが,今季4位に入ったのはWECを戦うSERTであります。加えて,視点をトップ10前後にまで広げてみると,海外勢がしっかりと食い込んできている印象です。


 WECラウンドに組み込まれてはいるけれど,WECを戦うチームにとってはなかなか勝負権を獲りきれない。そんな印象も強かった鈴鹿8耐ですが,いよいよ海外勢がポディウムをうかがえる状態になってきたかも知れない。国内勢での上位争いもかなり熾烈になってきていますし,実力が接近してきているのはレース好きにとって,うれしい状況だったりします。