実車化されたFAB1。

実写,ですとサンダーバードがベースだそうです。


 サンダーバードサンダーバードが出てくる,という意味では確かに面白いコンビかな,とは思うのですが,やはりロールスのイメージが強いですね。恐らく,実写版の制作に際して,ロールス・ロイス社からの協力が得られなかったのかも知れません。何しろ,ティレルP34的にフロントが4輪,後輪が2輪という6輪車ですし,グリーンハウスにしてもガラスの複雑な曲線による仕上げになるはずですから。ロールスが本気でつくろうと思うと(そして,ロールスはやるとなると本気になって仕立ててくるだろう,と思います。),映画の予算がこのクルマの製作費用だけで費消される可能性もあった,かも知れません。


 ですので,このFAB1は6輪車にはなっておりません。当然ですけど。



 今回は,こちらの記事をもとに,ロールス・ロイス社が仕立てた特別仕様車について書いていこう,と思います。


 ピンクの塗装の特別仕様車,となると,ヒカリエに展示されていたクラウン・アスリートを思い出すひともおられるかな,と思いますが,このロールスは“ReBORN”を目的とするものではなくて,チャリティを目的として仕立てられたものであります。


 ピンクでチャリティで,となると,思い浮かぶことがおありではないでしょうか。ピンク・リボンが象徴するもの,であります。乳ガンケア支援のためのチャリティであります。このアイディアを思い付いたクリス・エバンスさんは,サンダーバードのFAB1を思い浮かべたのでしょう。国際救助隊ロンドン支部のレディ・ペネロープが乗っていた,ビックリするほどにパルテノン・グリルが大きな,特注(ある意味,ボンドさんのアストン・マーティン並みに特別装備が多い)のロールス・ロイス,であります。クリスさん(と,このプロジェクトを動かしているひとたち)は,ロールス・ロイス社にチャリティの趣旨を説明して,協力を依頼したのでしょう。で,ロールス・ロイス社はこの依頼を快諾した,と。


 さて。ロールス・ロイスのビスポーク部門が製作を担当した,このFAB1でありますが,どうチャリティに使われるのか,であります。要は,ハイヤーとして使われるのですね。1日貸し,であります。その料金は,5000ポンドから要相談,とのことです。もちろん,100万ポンドの目標をこのハイヤーだけで達成するわけではなくて,一般的な寄付も当然に受け付ける,とのことです。


 それにしても。現代的なデザインを取り込んだがために,存在感が強いロールスでありますが,意外なほどにピンクが収まっているな,と思います。かつてのUKなクルマはソリッドな塗色,それも軽さを感じる塗色が似合っていた,という印象がありますが,このゴーストもどうしてどうして,やはりUKの伝統をこういう部分でも引き継いでいるのだな,と感じます。