ホンダ、2013年モータースポーツ活動概要を発表。

フォーミュラ1を「勉強中」だとか。


 2014シーズンから技術規則が変更され,搭載されるエンジンがV型6気筒・1600ccシングルターボになる,そんなタイミングを意識してのことかな,と思います。


 市販車ではすでにダウンサイジングがひとつの流れになっていますし,ツーリングカー・レースでも規定排気量が小さくなる流れにあります。トップ・フォーミュラとしての迫力がなくなる,という見方もあるかも知れませんが,反面でF1も環境面を意識する必要がある,そんな時代であるのも確かです。であるならば,ホンダがトップ・フォーミュラへと戻る,その可能性は確かにゼロではないのかも知れません。


 それはそれとして。今回はフットボールを離れまして,2013年Hondaモータースポーツ活動の概要、とのリリースをもとに書いていこう,と思います。


 まず,2輪車方面であります。


 今季,ホンダが大きな目標としているのは,リリースにも書かれていますがMotoGPクラスでのライダーズ・タイトル奪還,でありましょう。昨季,マニュファクチャラーズ・タイトルではヤマハを退けてタイトルを獲得していますが,ライダーズ・ランキングでは,エースであるダニ・ペドロサ選手はヤマハを操るホルヘ・ロレンソ選手に18ポイント差を付けられ,2位にとどまっています。このライダーズ・タイトル奪還が大きな目標であり,ファクトリー・チームであるレプソル・ホンダには新たに昨季のMoto2クラスチャンプであるマルク・マルケス選手が加入,体制の強化を図っています。


 また,このリリースでは,Moto2クラスへのエンジン供給を2015シーズンまで継続するというアナウンスメントもなされています。


 ホンダというメーカは,過去においてファクトリー活動を積極的に展開する一方で,カスタマー活動という部分では目立たないような印象がありましたが,その印象を大きく変えたのが,このMoto2クラスへのエンジン供給であったように思います。このエンジン供給体制がさらに長期にわたる,というのはメーカの負担,という意味では厳しい部分も当然あるかとは思いますが,バイクレースの裾野を広げる,という意味では大きな意味を持つものではないか,と感じます。


 続いて,4輪車方面であります。


 個人的に楽しみなのは,WTCCであります。昨季,鈴鹿ラウンドに先行参戦していたシビックが,今季から本格参戦であります。このリリースを読むと,1600ccターボエンジンを本田技研サイドで開発,シャシー・エンジニアリング,マシン開発についてはミラノ郊外に本拠を構えるJASモータースポーツが担当,実際のレース・オペレーションについてもJASに委ねる,という形でのファクトリー参戦,であります。WTCCはなかなかに厳しい舞台でもありますし,初年度から存在感を見せ付けるのは難しい,かも知れませんが,サテライトを含めた参戦体制は初年度から勝負権をつかみに行く,という姿勢を感じさせるものがあります。実戦を通じて,どれだけマシン開発の速度を上げられるか,が大きな鍵かな,と見ています。


 スーパーGTについては,2014シーズンからNSXでの参戦がアナウンスされています。SGTとDTMモノコックを共通化する,というアナウンスメントがすでにあって,このモノコックはFRマシンを前提とした設計である,とのことですが,恐らく時期NSXはミッドシップ・レイアウトを採用してくるはずです。MRに対応できる形でのモノコックなのか,という部分も興味ですが,運動性能面での調整,BOPがどんな感じになるのか,も興味深い部分です。となると今季がHSVでの参戦最終年ですから,このリリースにもあるようにドライバーズ,チームのタイトル奪取が大きな目標になるはずです。実質的なファクトリー,と位置付けられるチームも見受けられますが,5チームがイコールな条件で勝負権を持っている,そんな関係性であるように感じられます。


 最後に。スポーツ・プロトタイプについては,扱いがちょっとばかり小さいな,と思いますが,今季にあっても少数精鋭体制には変化なし,のようです。ただ,個人的には,エンジン供給をもうちょっと広げてほしいところです。LMP2カテゴリは基本的に,プライベティアのためのカテゴリとして位置付けられていて,カスタマー・シャシーと市販エンジンをベースとするエンジンのコンビネーションによって,一定程度以上の戦闘力を持ったマシンを仕立てられる,という部分が大きな魅力です。であれば,オレカやローラにもHPD製のエンジンが搭載されるようになるといい,と思うわけです。経験豊かなレース屋とのコンビネーションでなければ,なかなか実質的な勝負権を得られない,という側面はありましょうが,ぜひHPDにはエンジン供給拡大を,と思います。