SGT、DTMと車両規則統一に向けた契約締結。

相互乗り入れが始まると面白くなるかな,とは思いますが。


 エンジンについての技術規定が同じではない,という部分がネックになるかも知れませんね。車両規定,よりも技術規則,特に搭載されるエンジンについての技術規定が早い段階で共通化されるようになると,話は違ってくるように思うのですがね。


 今回はフットボールを離れまして,オートスポーツさんのニュース記事をもとにしながら,レーシングな話を書いていこう,と思います。


 さて。ごく大ざっぱな要約をしますと,一部の技術規則を除いて,GT500マシンとDTMマシンとの車両規則を2014シーズンから共通化することについて,GTAとITRが契約を結んだ,ということであります。


 そこで,技術規則の概要(オートスポーツ)を眺めてみますと。


 確かに,多くの項目においてGT500マシンとDTMマシンとで技術規則の共通化が図られていることが見て取れます。個人的には,モノコックが共通化されたとして,そのモノコックの製造をどこが担当するのか(海外調達になってしまうのか)が気になっていた(恐らく,童夢のファウンダーが懸念していたのもこの部分かな,と思いますが。)のですが,GTAは「国産モノコック」としています。実際にカーボン・モノコックの製造を担当できる会社,となるとごく限られてくると思いますが,それでも国内コンストラクターが関与できる,という意味においては悪くない話だな,と感じます。


 感じますが,まだちょっとばかり懸念材料もありまして。


 「共通部品」の調達先です。アンダーフロアなどの製造を担当するのが,果たして国内コンストラクターなのか,それとも海外からの調達に頼ることになるのか。コンストラクターを含めて,国内レース界を活性化させる,という意図があるのならば,部品などについても国内調達であってほしい,と思うところです。


 さてさて。SGTとDTMの相互乗り入れがスムーズになるか,という話でありますが。


 やはり,エンジンについての技術規定が鍵を握るように見ています。GT500からDTM,というのであれば,現行規定の3400ccエンジンを4000ccへと引き上げる,などの手段が考えられるかな,と思いますが,ストロークアップにしてもボアアップにしても,4000ccで「戦えるエンジン」に仕立て直す必要性が出てくるわけですから,決して低くないハードルとなるように感じます。


 仕立て直し,という意味では欧州メーカも同じかな,と見ています。


 2014シーズンからのGT500は2000cc・直4ターボ,とのことです。ここで欧州メーカの動向を想像してみるに,彼らはまずS2000規定を思い浮かべるかな,と思います。たとえば,BMWはすでにS2000規定に対応したエンジンを持っています。BMWがSGTに参戦するとすればそのエンジンをSGT仕様に仕立て直す,というのもひとつの方法論となりうるかな,と思うのですが,やはり1600ccで戦闘力が計算されているエンジンですから,単純なストロークアップ,あるいはボアアップで戦闘力を上乗せできるか,未知数ではないかな,と見ています(もちろん,2000ccターボを新規に開発,持ち込んでくる可能性もゼロではありませんが。)。加えて書けば,現状においてS2000規定に対応するエンジンを持っていないメーカにとって,新たな選手権のためだけにエンジンを開発する,その動機付けがあるかどうか。


 と考えてくると,本格的なマシンの相互乗り入れが実現するためには,エンジンについての技術規定が早い段階で共通化されること,が大きな要素になるのではないかな,と思うのです。コストダウン,という側面についても,実際に動き出してみないと読み切れない部分があるのも確かですが,現段階においてはメリット,デメリット双方が見える,そんな話かな,と思ってしまうところです。