18枚の切符。

設計図を部分的に書き換えてきたのかな,と思います。


 といっても,戦術的な枠組みまでが書き換えられる,という感じでもありません。トゥーロンで否応なく実感させられることになったフィジカル面での差,その差をどのようにして縮めるか。速さ,という要素を落としたくはないけれど,強さを失うわけにはいかない。守備応対面,そして攻撃面においても強さを意識してのこと,かな,とは感じるわけです。


 JFAからのリリースをもとに,書いていこうと思います。


GK
1 権田 修一ゴンダ シュウイチGONDA Shuichi
1989.03.03 187 cm 83 kg FC東京

18 安藤 駿介アンドウ シュンスケANDO Shunsuke
1990.08.10 185 cm 79 kg 川崎フロンターレ

DF
2 徳永 悠平トクナガ ユウヘイTOKUNAGA Yuhei
1983.09.25 180 cm 76 kg FC東京

12 吉田 麻也ヨシダ マヤYOSHIDA Maya
1988.08.24 189 cm 81 kg VVVフェンロ(オランダ)

8 山村 和也ヤマムラ カズヤYAMAMURA Kazuya
1989.12.02 184 cm 75 kg 鹿島アントラーズ

13 鈴木 大輔スズキ ダイスケSUZUKI Daisuke
1990.01.29 181 cm 78 kg アルビレックス新潟

4 酒井 宏樹サカイ ヒロキSAKAI Hiroki
1990.04.12 183 cm 70 kg ハノーバー96(ドイツ)

5 酒井 高徳サカイ ゴウトクSAKAI Gotoku
1991.03.14 176 cm 74 kg VfBシュツットガルト(ドイツ)

MF
17 清武 弘嗣キヨタケ ヒロシKIYOTAKE Hiroshi
1989.11.12 172 cm 66 kg 1.FCニュルンベルク(ドイツ)

6 村松 大輔ムラマツ タイスケMURAMATSU Taisuke
1989.12.16 176 cm 73 kg 清水エスパルス

10 東 慶悟ヒガシ ケイゴHIGASHI Keigo
1990.07.20 178 cm 69 kg 大宮アルディージャ

16 山口 螢ヤマグチ ホタルYAMAGUCHI Hotaru
1990.10.06 173 cm 72 kg セレッソ大阪

3 扇原 貴宏オウギハラ タカヒロOGIHARA Takahiro
1991.10.05 184 cm 72 kg セレッソ大阪

14 宇佐美 貴史ウサミ タカシUSAMI Takashi
1992.05.06 178 cm 70 kg ホッフェンハイム(ドイツ)

FW
11 永井 謙佑ナガイ ケンスケNAGAI Kensuke
1989.03.05 177 cm 74 kg 名古屋グランパス

7 大津 祐樹オオツ ユウキOTSU Yuki
1990.03.24 180 cm 73 kg ボルシアMG(ドイツ)

15 齋藤 学サイトウ マナブSAITO Manabu
1990.04.04 169 cm 64 kg 横浜F・マリノス

9 杉本 健勇スギモト ケンユウSUGIMOTO Kenyu
1992.11.18 187 cm 79 kg 東京ヴェルディ


というクレジットを眺めてみて,まず最初に思い浮かんだのが,「対欧州仕様」という言葉でした。


 冒頭にも書きましたが,対アジアであれば表現できる(と言って,実際のフットボールはかなりビジーな印象が付きまとうのですが),関塚さんが狙うフットボールがなかなか表現できない状態にトゥーロンでは持ち込まれてしまいました。もちろん,対欧州を最初から意識して戦術的な枠組みを設計,構築できれば最低限の微調整で対応できる話だったのかも知れませんが,トゥーロンでの戦いを振り返る限り,微調整の水準では対応できない,とコーチング・スタッフは見ていたように思います。その後,オーバーエイジの話もまずはディフェンダー,しかも海外組のディフェンダーが最初に浮上してきましたし,海外組をどのようにして組み込むのか,という側面にしても「強さ」が要素として大きくなっていったのかな,と思うわけです。


 さて。個人的なリクエストをひとつ書くならば。


 もうちょっと,「時間」を操る意識を持てるといい,と思います。ここまでのフットボールを思うと,ボール奪取から攻撃へとトランジットして,フィニッシュへと向かう時間がすごく短い。もちろん,対戦相手のチーム・バランスが崩れている局面であればシンプルに縦を狙う姿勢を見せて当然ですが,相手がそれほど大きくバランスを崩していない局面であっても,トランジションからの攻撃が縦を強く意識したもの「だけ」に傾いてしまう,そんな傾向を持っていたように思います。強さ,をタメと読み替えることができるならば,自分たちでリズムを動かしながら仕掛けていく,その可能性が広がっていくことにもなる,かも知れません。そんな方向性をぜひ,本戦で見せて欲しいと思っています。


 最後に,ちょっとばかり浦和視点でこのスコッドを眺めるに。


 予備登録されていたフットボーラーが,本登録にはクレジットされていないという部分に残念な思いを持ちながら,同時にやむを得ない部分もあるな,と感じています。濱田選手にしてみれば,トゥーロン以降の流れは彼にとってかなりの逆風になっていたと思いますし,クラブレベルでもリーグ戦になかなかスターターとして絡めていない,という状態でもありますから,この結論は残念なのは確かなのだけれど,反面でフェアな結論なのかも知れない,と思うのです。この印象は,原口選手にも感じることです。昨季のようなパフォーマンスを,今季のコレクティブなフットボールにあっても表現できているのであれば,話は違うのでしょうが,反面で昨季のパフォーマンスは“ジョーカー”としての起用を思い浮かべさせるものでもありました。そして今季は,フットボーラーとして要求される要素が飛躍的に増えています。しかも,いままでならば要求されてこなかった要素でもあります。ワンステップ,あるいはそれ以上に多くの段階を踏んでいることになるかも知れません。難しさを感じているでしょうし,歯がゆさを感じる部分もあるのかな,と思います。そんな状態であるように見えるだけに,やはり今回の結論はやむを得ないのかな,と思うのです。


 残念ながら,18枚の切符にたどり着くことはできなかった。けれど,「その先」の権利が18枚の切符を取れなかったことで失われるわけではありません。ぜひ,その先の切符を獲れるフットボーラーへと進化していく,そのきっかけにしてほしいと思っています。