エヴォーラ414Eハイブリッド。

1000Nm(102.0kgm)とは,驚きですね。


 最高出力,ではなくて,最大トルクであります。たとえば,0km/hからどれだけ鋭く加速できるか,であったり,曲率のきついコーナに飛び込み,速度が大きく下がった状態から再加速する,その加速に大きな意味を持つ数字です。実際,加速性能として0〜60マイルが約4秒,とアナウンスされていますから,モータの特性をしっかりと生かした加速特性なのだろうな,と想像します。

 


 さて。今回はフットボールを離れまして,こちらの記事をもとにロータスが開発中のレンジエクステンダーEVについて書いていこう,と思います。


 車名には“ハイブリッド”とあるのに,なにゆえにEVか。


 駆動にはあくまでも,モータを使うということなのです。この記事をまとめた竹下さんによれば,もともとならばエンジンが搭載されていた車体中央部に,2基のモータを搭載している(ちなみに,最高出力は車名の数字にもある414psとのこと。),ということですから,恐らく左右のタイアをそれぞれひとつのモータが担当,統合制御のプログラムにトラクション・コントロールの役割を持たせているのではないでしょうか。と,見るからに高性能なモータを搭載しているわけですから,航続距離は48kmにとどまります。この航続距離を伸ばすためのディバイスとして,エンジンを利用するのです。エンジンによって電気を起こし,バッテリから持ち出された電力を補充する,というわけです。


 実は,個人的な興味は違う数字にあったりします。


 車体重量であり,バッテリ(ひょっとすればキャパシタかも知れませんが。)重量であります。この数字が見えると,パワー・ウェイト・レシオを弾き出すことができるのです。車体重量と,最高出力(あるいは最大トルク)とのバランスがどのように取られているのか,であります。


 たとえば。出力を高めるのであれば高性能なモータを搭載すればいいわけです。けれど,当然に消費電力も大きくなってしまうはずです。となると,バッテリ容量がどうしても大きくなるし,となるとバッテリ重量が増加しかねません。それでも,物理的に大きなクルマでいいならば,バッテリを搭載するためのスペースを作り出すこともできるでしょう。しかし。スポーツカーは物理的に小さいこと,そして軽いことが有利に働く,そんなクルマです。パワーを追い求めれば重量面でハンディを背負いかねず,バッテリ容量から設計をはじめてしまえば運動性能面でハンディを背負うことになりかねない。ロータスは,どのあたりのバランスを見ていたのだろう,ということにすごく興味があるわけです。


 EVというと,航続距離が,という話になります。


 確かにその通り,であります。でありますが,まだまだ技術革新の可能性が多く残されている,とも見ることができるようにも思います。今回,ロータスが考えたのはEVであっても迫力のある運動性能を実現するためにはどのようなスペックが必要なのか,ということではないかな,と見ています。そのために,航続距離が短くなったのではないか,と。


 そこで,パワー・ウェイト・レシオが出てくるのです。


 小型,大容量のバッテリを搭載できるのであれば,実際にエヴォーラに搭載されているモータであっても,さらに航続距離を伸ばせる,その可能性があると思います。さらに,小型,軽量で高性能なモータが搭載できるなら,物理的なバッテリ搭載重量を増加させることもできるはずです。そのバッテリが小型,大容量であれば,さらに航続距離は伸びるし,パワー・ウェイト・レシオが悪化することもないはずです。自動車会社,というよりも電気屋さんの領域になるかも知れませんが,彼らの技術革新が結果として,スポーツカーなEVを現実へと引き寄せていく,その大きな原動力になってくれるのではないか,と期待しています。