ピッチだけが知っている、は過去に!?

ピッチだけが知っている,と言えば。


 オールド・ウェンブリーのピッチは,かなり重要なことを知っていたはずだ,と思います。


 ジェフ・ハーストが放ったシュート,そのシュートは最終的にどの位置に落ちたのか。ゴールラインの真上に落ちたのか,それともボールがしっかりとゴールマウスに収まるような形で落ちたのか。


ドイツ(当時は西ドイツ,でしたね。)に関わるひとたちにとってみれば,このゴールが認められなければ,という思いがありましょうし,イングランドに関わるひとたちにしてみれば,実際にどの位置にボールが落ちたのか,が問題なのではなくて,レフェリーがゴールと認めたかどうかが問題なのであって,この試合ではゴールを認めているのだから,ゴールであるには違いなかろう,と。積極的にピッチに聞きたいのはドイツのひとたちでしょうが,残念ながらオールド・ウェンブリーのピッチはいまはありません。


 1966年に開催されたワールドカップ,西ドイツとイングランドで戦われた決勝戦であります。


 こんな,語り継がれる因縁はなくなる,ことになるのでありましょうか。こちらの記事をもとに,ちょっとだけ。


 欧州カップ戦,そして欧州選手権ではいわゆる「線審」として,ゴールを確認するためのジャッジが配置されていますが,今回の決定はさらに技術的な裏付けをしよう,とのことであります。映像解析,となると,ラグビーフットボールのように試合を止めて画像を確認する,という感じもしますが,実際にはそういうことはないようです。すでに主審や副審はヘッドセットを装着してレフェリングを担当していますが,このヘッドセットに解析結果がそれほどのタイムラグなく伝えられる,そんなシステムであるようです。そのため,今回認可された“ホークアイ”(ちなみに,このシステムを開発したホークアイイノベーションズは,UKを本拠とするソニーの関連会社とのこと。ソニーがFIFAのパートナーである,という部分も解析システムを導入する,そのハードルを下げる要因になったかな,と推理できる部分もありますね。)では競技場に14台のカメラが設置され,ボールの軌跡を追跡する形になっているようです。


 確か,映像解析で言うならば,中野田にもすでに映像解析システムが導入されているはずです。とは言え,レフェリングに応用するためのシステムではなくて,戦術面での解析システムではありますが,技術的にはすでに,フットボールを解析するシステムは確立されている,とは言えるはずです。要は,レフェリングに対する信頼性を,技術によって裏打ちするのか,それとも,という部分でFIFAはなかなか技術導入という方向に踏み込めなかったのだろう,と思います。テニスにせよ,ラグビーフットボールにせよ,技術を導入する方向性はすでにできていて,フットボールだけが立ち止まっているわけにはいかないというのも,(価値判断は別として)環境としてあったように思います。


 いずれにしても。ピッチだけが知っている,ということはなくなっていくことになるのだろう,と思います。