アルガルベ・カップのことなど。

ひとつでも多くの実戦を経験すること。


 同時に,実戦を通じて課題をあぶり出すこと。


 結果を引き寄せることができないと,カップ戦でひとつでも多くの実戦を経験することは不可能ですが,さりとて結果だけが最優先項目ではないようにも感じられます。であれば,準優勝という結果は想定通り,なのかも知れないな,とちょっとばかり深読みしております。


 ポルトガルを舞台に開催された,アルガルベ・カップであります。


 さて。なでしこさんはこのカップ戦で何試合を経験できたかな,と。


 順位決定戦が用意されている,とのことですから,基本的にほぼ同じ試合数を経験できるはずですが,「優勝を争う試合」を含めて4試合を経験できた,しかも熟成を重ねたチームではなくて,新たな戦力を組み込んだ状態のチームでしっかりとした実戦負荷を掛けることができた,というのは最も大きな収穫ではないかな,と思うのです。


 チームとして,コンディションのピークをどのタイミングに設定するか,という意味では,この時期でないのは確かです。たとえば,最終的にロンドンへの切符がこのカップ戦で争われる,というのであれば,チームのピークをこの時期に設定する必要性があるのは当然ですし,100%で「勝ちに行く」ことが求められます。けれど,なでしこさんはすでに切符を確保しているし,彼女たちの目標は,このカップ戦でトップを取ることではなくて,ロンドンでトップを取ることにあるはずです。最終的にはメンバーを18人にまで絞り込む必要性があるのは確かですが,その前段階としてチームのボトミング・アップを積極的に狙う時期でもあるはずです。このカップ戦へと帯同させた選手を全員試合へと投入して,実戦を経験させた,という意味が,このあたりに求められるように思うのです。


 そしてもうひとつ。


 再びトップを狙うため,そして実際にトップを奪うための課題を徹底的に洗い出す時期だと思います。できたこと,よりも,できなかったこと,あるいはなかなか表現させてもらえなかったことをできるだけ多くピックアップすることが許される,そんな時期だと思いますし,そんな時期の貴重な実戦機会だろう,と思うのですね。であれば,ゲーム・マネージメントという部分で課題があったかな,と感じさせる試合であったり,相手の攻撃を受け止めなくてはならなかった時間帯,相当に厳しい局面を経験したこと,さらには相手に先制点を奪われ,追い掛ける展開からゲームを動かしていく必要に迫られたこと,そんな状態から試合を50:50の状態へと引き戻してきたこと,など,真剣勝負の実戦だからこそ経験できる負荷がチームに掛かった,というのは単純に「課題」というだけでなく,さらにチーム・ビルディングを進めていくための大きなヒントになる,と思うわけです。


 新たな戦力を組み込んだ状態なのだから,荒削りであって不思議はないし,熟成初期段階であるとしても不思議はありません。それよりも,最終的な準備に向けて,実戦を通じて見えた課題をどう生かすか。問題はこれからであるように思うのであります。