22×A1。

A4でもなく,A3でもない。


 提供規模が大きいからA1を選択したのではないか,ボトムレンジだから選んだのではないか,と見られてしまいがちかな,と思いますが,個人的にはアウディさんの選択,なかなかの「いい仕事」だと個人的には思っています。


 今回は,アウディ・ジャパンさんのニュースリリースをもとに,フットボールの話,のようなクルマな話,を書いていこう,と思います。


 JFAのサポーティング・カンパニーであるアウディ・ジャパンさんから,なでしこさんにA1を22台提供する,というお話であります。


 で,A1であります。欧州的にセグメントで説明すると,セグメントBに収まるクルマであります。同じアウディのA4がセグメントD,A3がセグメントCでありますから,セグメントという部分からもボトムレンジである,という説明が「表面的には」できるわけです。
 しかし。アウディがどのような商品を仕立てているか,冷静に眺めてみれば,ボトムレンジだからと言って,「お安いんでしょ。」であるとか,「かわいいだけなんでしょ。」というクルマにはなっていないわけです。


 いつもならば,デザイン方向から書くところですが,すでに書いてもおりますし,今回はドライブトレーン方向を書いてみます。このA1に採用されているのは,1.4リッターのターボに,Sトロニックと呼ばれる7段ミッションのコンビネーションであります。で,個人的にこのクルマの鍵だと思っているのは,このSトロニックであります。要は,クラッチ操作をキカイにお任せできる,シーケンシャル・トランスミッションなのです。多段ミッション,というと不思議に大排気量車に設定されがちなのですが,そのメリットを存分に受け取れる,エンジンの持っている能力をしっかりと引き出せるのは小排気量車だろう,と思っています。そして,アウディはA1に7速を持ち込んだわけです。
 小さな高級車,という表現をされるクルマであって,A5などとの共通性も感じさせますが,実際にはGT的に使うこともできると思いますし,あるいはTTのようにスポーティに,というのもできるはずです。その意味で,A5的な部分とTT的な部分を合わせ持っている,とも言えるかな,と。


 イビツァさんの言葉を借りれば,ポリバレントなクルマかな,と思うのですね。いささか深読みが過ぎるかも,ですが,それにしてもアウディさんはなかなかいいクルマを用意してくれたな,と思います。こういう粋な「いい仕事」,いろいろなカテゴリでしてもらえるように,と思いますね。