対新潟戦(11−21A)。

基本的なバランスは良かったな,と思うけれど。


 この基本的なバランスをどうマネージするのか,戦術交代でどちらにウェイトをかけるのか,という部分で方向性がはっきりしない,と言いますか,取れる方向性が限定されてしまっている,と言いますか。そのために,バランスをマネージしながらゲームを落ち着かせて,という形になかなか持ち込めない。さらには,レフェリングという外部要因が,このゲームにあっても影を落とす。「勝ち点3」奪取という収穫はあったし,大事な要素なのですが,まだ不安定さを感じる部分があるな,と思います。


 時機に遅れて,のアウェイな新潟戦であります。ありますので,ちょっと簡単に。


 まずは,基本的なバランスの話でありますが,要は直輝選手のプレー・エリアをどこにセットするのか,ということであります。今節は,ウィンガーなポジションではなくて,センターに構えるアタッキング・ミッドフィールドであります。マルシオ・リシャルデス選手の出場停止もあって,センターという方向性が自然と導かれた部分もあるかな,とは思います。思いますが,チームがどのような動きをすれば相手守備ブロックの隙を突けるのか,スペースを狙いに行けるのか,そのためのスイッチを入れるフットボーラーは,やはりウィンガーの位置で「使われる」形だけに引っ張られてしまうと,パフォーマンスを抑え込まれてしまう,ということを感じさせるものがありました。


 では,このバランスをマネージする,という部分の話ですが。


 守備バランス,という言い方に変えてもいいかな,と思います。


 現任指揮官のフットボールは,ポジション・フットボールという言い方で説明されますが,同時にコンパクトさを強く要求するフットボールでもあるはずだ,と思っています。ロングレンジ・パスによってエリアを戻すと同時に,イーブンになるボール・コントロールを奪い返し,高い位置でのポゼッションを狙うためにはどうしても高い位置からのしっかりとした守備応対が求められることになります。
 攻撃面での1on1がフォーカスされがちですが,実際に現任指揮官が求めているのは,「しっかりとした守備応対からの」1on1でもあるはずだ,と思うのです。しかしながら,戦術交代で高い位置からのしっかりした守備応対,という戦術イメージが強まるか,あるいは維持できているか,となるとちょっとネガティブに見ざるを得ないように思うのです。ボール・コントロールをどの位置で奪うか,そのためにボール・ホルダーをどの位置で,どこまで追い込んでいくのか,という戦術イメージが曖昧になってしまって,結果としてセントラル・ミッドフィールドや最終ラインにかかる負担が高くなってしまう。今季の浦和はオープンな展開に持ち込む形がかなり多いですが,実際には守備バランスを維持しながらゲームをマネージする,という方向での選択肢がいささか狭い,ということも影響しているのではないかな,と感じるところです。


 リザーブの組み方を見ると,守備バランスをどこで取るのか,というイメージがなかなか明確に受け取れない。


 高い位置から,となれば,もうちょっと守備応対面にも意識を傾けることのできるフットボーラーがリザーブに入っている必要があるし,攻撃面を意識してなるべく攻撃面で強みを持つフットボーラーを,ということであれば,ボール奪取位置をちょっとだけ下げて,守備エリアが広い,そして攻撃とのリンクもできるセントラルに追い込む,という必要があるし,そんなフットボーラーをダッグアウトに置いておく必要がある。と思うのですが,リザーブのバランスは現状,攻撃面に傾いている。


 「勝ち点3」という足掛かりをしっかりと確保したことは大きな収穫ですが,その足掛かりを確保するためのアプローチには,課題とすべき要素がしっかりとあるような,そんな印象を持ちます。