DTMとSGTの車両規則。

素朴な疑問,でありますが。


 N−GTは,ホントにGTでしょうか。


 確か,車両規則では側面投影で市販車のイメージを残すこと,という記述があったかと思うのですが,その側面投影の範囲はどう見てもキャビンに限定されていて,サスペンション・ジオメトリーに直接的な影響を与えるフロント・セクション,並びにリア・セクションは相当程度に変更を受けています。ちょっと古めな表現を持ち出せば,シルエット・フォーミュラではないか,と思いますし,もうちょっと説明的に言うならば,市販車のイメージを部分的に残すことを要求したスポーツ・プロトタイプ,という言い方もできるだろう,と思うわけです。


 となれば,コストアップもある意味当然でしょうし,海外からの参戦を促すのも難しいでありましょう。ケータイと同じく,“ガラパゴス”になる可能性も,決して否定できるものではありません。選手権として人気があるとしても,参戦を継続していくための負担があまりに大きいとなれば,将来的には選手権がシュリンクすることもあり得ます。そんな道筋をたどったオーガナイザから話があった,というのは,ちょっと示唆的ではないか,と感じます。


 シーズン・オフでもありますし。


 ひさびさに屋号らしく,フットボールとはまったく関係のない,モータースポーツな話をAUTOSPORTさんのニュース記事をもとに書いていこう,と思います。


 こちらの記事をサラッと読む限りでは,提案はDTMサイドから,のようです。


 現段階で,DTMに参戦しているのはメルセデスアウディだけです。新たなコンテンダーを,という流れがあるのは確かでしょう。そんな文脈で,レギュレーションに関する話が出てきた,と。


 あくまでも,アウトサイドから見てですけれど。


 「共通項」ができることは悪くない,と思います。オープンホイーラーのレースよりも人気があり,それだけにメーカも注力してきた選手権ですが,それだけに車両規則をもってしても「過熱」感があったように感じます。継続的に選手権が発展していく,という側面から考えるならば,ホンダに日産,そしてレクサスだけがコンテンダーであり続けている状態が,望ましいとは思えません。ちょうど,技術競争が頂点に達していた頃のDTMに重なる状況でもあります。


 ほかのメーカにとっても,魅力的な選手権であること。


 レースそのものが持つ魅力も確かに重要ですが,その選手権に参戦するに当たって,どれだけの予算規模が必要となるのか,たとえば,チャンピオンシップを狙えるマシンを開発して,シーズンを転戦するのに,どれだけのバジェットが必要なのか,という部分でもメーカを引き付ける要素がなければならない,と感じます。市販車のポテンシャルに縛られない,という意味では魅力がある,とは言えるけれど、現状においてはあまりに国内限定な車両規則である,というのがDTM,SGT双方の大きな弱点でもあります。この大きな弱点を,将来的に潰していこうというのがDTMサイドからの提案です。


 SGTは車両規定を変更したばかりという話でもあり,短期的に話が進展する,という可能性は低いのかも知れませんが,中長期的にはまとまってほしい,という話であります。