早稲田対明治戦(対抗戦最終節)。

直接対決で,優勝が決まらなかった。


 となると,「対戦相手」という要素が絡んできます。
 実際,慶應義塾にとっては帝京という存在が大きく立ちはだかりました。前半,ゲームをコントロールしていたはずなのに,その主導権を後半は奪われ,逆転を喫することになります。


 これで,早稲田としては「やるべきこと」が明確になったわけです。もちろん,明治としても「やるべきこと」は明確です。


 ということで,対抗戦最終節であります。ありますが,時期的にはちょっとばかり遅れていますので,思うところなどを。


 まずは,明治でありますが。


 「やるべきこと」は,自らの矜持を国立霞ヶ丘のフィールドで示すこと。
 つまりは,明早戦を制し,相手が眼前で戴冠することを阻止することにあったはずだと思うわけですが,この見方はどちらかと言えば,オフ・ザ・フィールドな感覚かも知れません。オン・ザ・フィールドな感覚としてはむしろ,明早戦での結果も当然重要ではあるけれど,大学選手権においてプレゼンスを示すべく,しっかりとした流れをつくっていくことも視界に収めていたのではないか,と思うわけです。
 そして,大学選手権へ向けた流れは相当程度,つくれたのではないか,と思います。


 まず,主導権を掌握する,という部分まではできたな,と。


 相手は当然,「結果」を出すことで優勝を,と考えているでしょうし,それだけに緊張した状態でゲームに入っているようにも見えました。であれば,立ち上がり,と言っていい時間帯で早稲田陣内深くまで攻め込み,モールを積極的にドライブすることから先制トライを奪取できた,というのは主導権を掌握するという意味からも,そして明治というチームが持つイメージが表現できた,という側面からも大きな要素だったと感じます。


 前半の段階で,2トライ・2コンバージョンを奪い,PGを奪取した相手との点差は11点でありました。となると,どのようにこのゲームをコントロールするか,という見方に自然になったのですが。


 早稲田が,しっかりとゲームの主導権を奪い返しにかかったな,という印象です。


 確かに,前半の早稲田は「らしさ」が抑えられていました。それでも不必要に焦ることなく,後半に入ってきます。
 立ち上がりの時間帯に,PGを決めることで点差を詰めてきます。さらに,59分のトライ奪取(コンバージョンは残念ながら外していますけど)によって,1トライでゲームをひっくり返せる点差にまで詰めていく。


 となると,追い掛けられる側よりは追い掛ける側が有利であります。


 ・・・圧倒するような強さではないけれど,強かにリズムを取り戻してくるような強さ。


 早明戦における早稲田,彼らの戦いぶりからはそんな印象を受けました。優勝がかかった試合である,という要素が作用してか,立ち上がりでは明治の後手を踏んだように感じるけれど,明治に掌握されていた流れを引き戻し,点差を詰めていく中でリズムを引き寄せ,さらにはゲームをものにする。


 清宮さんの頃とは確かに違うけれど,この強さもなかなかに印象的である。アウトサイドとしては,そんな印象を持つわけです。