理事会決定に思うこと。

あまり,この言葉は好きではないのですが。


 “プロビンチア”として,どのようなマネージメントをすべきなのか。


 そんな視点が,どこかで抜け落ちたのではないか,と感じます。


 少なくとも,ネガティブな循環から抜け出せなかった2009シーズンに限定できる話ではないでしょう。債務超過額を考えれば,「強さ」へと踏み出した時期が2008シーズンよりも早い時期,と想像できるからです。無理を重ねた結果として,2008シーズンのタイトル奪取があった,ということになるのかも知れません。そして,クラブにとっては分水嶺であったのかも知れない,とも感じます。であれば,踏み出していくタイミングが財務基盤とのバランスを考えれば時期尚早であった,ということになるのだろう,と思うわけです。


 今回は,トリニータへの6億円融資,ということをもとに書いていこうと思います。


 プロフェッショナル・クラブならば,「強さ」を求めるのは当然のこと。


 確かにその通り,ではあるのですが,裏付けとなるファースト・チームの「強さ」が,クラブの体力と見合った形で手に入れられる状況にあったのかどうか,という検討を冷静にしていくことも大事なことであろう,と思います。


 ファースト・チームの強さは,クラブをポジティブな循環へと導くために重要な要素です。けれど,戦力を保持するための「裏付け」,特に財政面での裏付けが必要なのも,また確かです。さまざまな要素がそろってはじめて,「踏み出す」タイミングをつかめる,と思うわけです。であれば,踏み出すタイミングを誤ってしまえば,ファースト・チームが手に入れようとする強さが,クラブの命脈と半ばトレード・オフの関係に立ってしまいかねない。


 ただ,今回の話はもうちょっと広い話を含んではいないか,と思います。


 「プロフェッショナルでなければ」,
 「トップ・ディビジョンでなければ」,
 「タイトル奪取を狙わなければ」,


ともすればクラブとしての存立基盤が失われる,というような状態であることが,今回の問題の裏側にあったりしないか,と思うところもあるのです。


 競技場へと足を運んでくれるひとたちへの,そしてクラブを支えようと思っていただけるひとたち(当然,営利社団法人も含めての話です。)への訴求度を高めなければ,クラブが維持できない。


 ネガティブな循環を止め,クラブを順回転させるためには,「無理」をしなければならない。


 その無理が積み重なって,無理できない状態に陥った。そんな姿ではないか,と思うだけに,トップ・ディビジョンだけがクラブにとっての最適解なのだろうか,と思うのです。


 どこかで,無理をすることは重要だし必要でしょう。


 けれど,その無理を早い段階から「積み重ねて」いかなければプロフェッショナルとしての基盤が維持できない,という状態は不自然だと感じますし,地域との関係を築いてきたクラブが,無理を重ねたがために「なくなってしまう」かも知れない,という形は望ましいものでもありません。フットボール・クラブが地域に確実に根ざしていける,適正規模が維持できるリーグ戦,恐らくそれは基礎構造に近いものとなるのでしょうが,そんなリーグ戦が整備されること(シビアな言い方をしてしまえば,トップ・ディビジョンからの退却戦略の立案)にも,意識が振り向けられてもいいのではないか。


 しっかりとしたことを書けるほどにアイディアがまとまっているわけではないのですが,現段階ではそんなことを思っています。