予選とは言うけれど。

確かに,英語表記を見ても「予選」であります。


 あくまで本戦は南アフリカで開催されるわけです。


 ですが実際には,“ワールドカップ”の厳しさであったり恐ろしさを実感させられるのは,予選段階だったりするような印象があるわけです。その意味では,ワールドカップが始まる(あるいは,エリアによってはすでに始まった)という感覚があります。


 ということで,今回はイングランド、因縁のクロアチアと同組…W杯予選(スポーツ報知)という記事をもとに。


 ・・・報知さん,なかなかに親切であります。


 記事を書いた記者さんが丁寧なのか,それともデスクさんが気を利かせてくれたのか,分かりやすく各大陸での出場枠と予選グループが示されておりますので,FIFAによるドローがどのような結果になったのか,は記事をご参照いただきますとして,ちょっと個人的に気になるグループを取り出してみようか,と思っております。


 さて。手はじめにUEFAエリアでありますが。


 まずは,イングランドが“ポット1”から外れた,ということが最初のトピックでしょう。ごくカンタンに言ってしまえば“Aシード”,強豪国が同一グループに入ってしまうことを回避するためのポットに収まれなかった,ということでありまして。当然,オランダやドイツ,イタリアにフランスなどはポット1であります。


 で,ユーロで苦杯を舐めるきっかけとなったクロアチアがポット1。


 因縁,を言うならば,この段階でも指摘すべきところでしょう。ユーロ予選での逆転した関係が,FIFAによっても裏打ちされたようなものですから。


 で,ホントに引力でもあるのか,クロアチアイングランドはグループFで再び戦うことになったわけです。クロアチアが再びイングランドを退けるか,それともイングランドが息を吹き返すことになるのか。後継監督を含めて,まだ不透明な部分が多いですが,復活の烽火を高く上げてほしいと思うところです。


 あとは,“ポット2”勢がどれだけポット1を苦しめられるか,でしょうね。


 恐らく,どのグループも難しさをどこかに隠し持っているはず。アウトサイダーとしては,どのようなアップセットが隠されているのか,気になってしまうところであります。


 さて,アウトサイダーなんて言っていられないAFCエリア,です。


 何はなくとも,な日本でありますが。


 中東勢との対戦は当然,覚悟せねばならないのですが,サウジアラビアとイランはポット1(Aシード)に指定されているので,考えなくていいわけです。とは言え,これらのチーム以外にも与しにくい中東勢のチームはあるわけで,実際にグループ2に入ってきたチームを見れば,確かにちょっとだけ安心できる形にはなっているように思えます。また,最終予選への関門「だけ」を考えれば,グループ2位でもいいことになります。


 だからと言って,安心していいはずもなく。


 最初に書いたように,ワールドカップの地域予選はある意味で,本戦以上に厳しい闘いであるような印象も,あるわけです。外形的には「戦いやすいグループ」であったとしても,どこに罠が仕掛けられているかどうか分からない。最終予選は2グループに分かれてのリーグ戦であり,そこでは中東勢でも強豪が収まってくるはず。加速態勢がつくりきれない状態で最終予選に入るわけにはいかない。理想を言うならば,指揮官が復帰を果たし,2010年へ向けたセカンド・プロトタイプとも言うべきチームを熟成させながら戦っていく,という姿が見たいのですが,リアリスティックなことを言うならば,恐らく基本的な路線を尊重した「ほかの誰か」が指揮を執らざるを得ないでしょう。なにより,本戦以上に厳しい戦いが想定される舞台に,現指揮官を戻したくない,という想いもあるのです。もっと根幹に関わるところで,経験などを貸してもらいたいと思ってはいますが。


 ・・・話戻しますと。となれば,どのような体制が組まれるのかを含めて,ちょっと不透明な部分もあります。ありますが。首位通過で,最終予選に向けた「加速態勢」を作り上げてほしい,と思いますね。