即席の戦闘指揮所。

またまた物騒な表現をタイトルに掲げておりますが。


 こちらの記事(日刊スポーツ)をさらっと読む限りでは,FIFA技術委員でもあったイビツァさんが,代表チームのコーチング・スタッフやU−19代表チームのコーチング・スタッフに対して即席の技術講習を行っているような感じにも受け取れます。


 ですが,個人的にはちょっと違った印象を持っているのであります。と言いますのも,

 横浜−福岡戦にはW杯メンバー候補だった横浜FW久保やDF松田、北京五輪での活躍が期待される福岡DF中村らが出場。他クラブにはどんなタイプの選手が、どういう状態でいるのか、この日の両チームの選手に代わるとすれば誰が入りそうなのか。具体名を複数挙げながら「模擬代表戦」まで行った。


という記者さんの記述を考えれば,単純な技術講習の域を超え,間違いなく実戦を現実的な射程に収めた緻密なシミュレーションにまで踏み込んでいたことがうかがえます。となれば,日産スタジアムの放送ブースはブリーフィング・ルームと言うよりも,仮設の“戦闘指揮所(Combat Information Centre)”という方が相応しくもあるように感じるのです。


 常に実戦を意識しながら,ゲームを共に見ることで戦術眼を共有する。また,実戦を通して,世界最高峰の監督が持つノウハウを受け取ることができる。


 それは,FIFAやJFAが主催する技術講習のレベルをはるかに超えて,コーチング・スタッフの視野を大きく広げることになるはずです。


 とは言え,このことが2010年までのショート・タームで終わってはいけないとも同時に思います。このノウハウを受け取ったひとたち,反町さんや加藤さん,そして井原さんたちはこの経験を代表チームを筆頭に,クラブ・チームや大学などあらゆるところに落とし込んでいく,という大きな責任を負ったことになるのですから。


 ともかく。この即席CICで鍛え上げられたコーチング・スタッフが将来的には日本のフットボールの背骨を作り上げる。そのスタートなのだな,という感じがします。