たかが、されど。

よく使われる表現ですよね。


 第三者的(客観的)に見れば,それほど大きな意味を持つとは思えない。だが,当事者にとっては客観的に判断できる価値以上の意味を持っている。そんなことを端的に表現する言葉でしょう。そして,こちらの記事(サンスポ)で紹介されていることは,まさしくそんな図式に当てはまることかな,と思うわけです。


 表面的なところだけを見れば,「たかがボール」。


 恐らく,アメリカサイドの関係者はそう考えているのだろうと思います。


 公式試合球である“+チームガイスト”であろうと,“マーキュリアルヴェイパー”であろうと同じようにFIFAのインスペクションを通過した公式球であり,インターナショナル・フレンドリーを行うのに何の問題もないはず。また,契約関係を重視すればサプライヤーであるナイキとの関係は無視できない。そういうこともあったのかな,と。


 しかし,早い段階から公式試合球の特性に慣れておくことはワールドカップ・イヤーであれば重要な要素となりうる。スパイクを通して感じられるフィーリングから,「ショートレンジ・パスを通すならばこんな感じ」,などの具体的なイメージを積み重ねていく。そういう機会をインターナショナル・フレンドリーで持てなかったことをJFAサイドは不満に思っているでしょう。


 こう考えていくと,「されどボール」なのだろうと思うわけです。


 JFA,Jリーグはアディダス(モルテン)と契約関係にありますから,この手の問題は発生しないわけですが,やはり早い段階から本戦で使われるボールに慣れておくことは意味があるはずです。チームとしての熟成を図りながら,同時に試合球にも慣れておくことを狙っていたのでしょうが,アメリカ遠征は残念ながら“ボールのフィーリング“に慣れる機会とはならなかった。「チームの熟成」や「チーム全体のボトミング・アップ」に集中しなければならないようであります。