共鳴効果あっての“Nationwide”。

前回エントリに引き続き,「クラブ論」のようなものを展開していこうかな,と思います。


 今回は,端的に結論を提示するところからはじめます。


 「全国区の人気」と,「ローカルな人気」との間には決定的な違いはない,と思っています。あるとすれば,先後関係があるだけだろう,と。
 つまり,ローカルな人気が先にあり,そのローカルな人気に共鳴するひとたちが増えていくことで結果的に全国区の人気が得られるということなのではないか,と思うのです。


 考えてみれば,当然のことかな,と思ったりします。


 フットボール・クラブのことを我がことのように考えてくれるひとは,恐らく「強さ」だけに惹かれるわけでもなければ,所属している選手個人だけに惹かれるわけでもない。自分のことを考えてみてもそうなのですが,恐らく理由を明確に説明することは難しいだろうと思います。ただ少なくとも,クラブの姿に何かを見出し,共鳴(というか,共感)するからこそ積極的に支えたいと思うし,自分の日常の中に深く根を下ろしていくのではないかな,と思うのです。
 以前も書いたことがありますが,“Matchday”というのは単にゲームのある日などではない。シーズンであれば週1回(ケースによっては2回)訪れる,日常の中にしっかりと織り込まれた非日常のようなものかも知れない,と思うのです。


 そして,クラブがすべきことというのはある意味シンプルだろうと思うのです。


 自分たちが本拠地を置く地域,その地域に住むひとたちに愛されることだけを考え,全力でできることを積み重ねていくことこそが重要だろうと思うのです。そして,そのクラブのことを我がことのように考え,日常の中にフットボールが深く根を下ろしているひとをひとりでも多くしていくこと。そのなかから,当然のこととしてチームが強化され,地域性をしっかりと反映させたクラブが生まれてくるはずだ,と思うのです。
 初期条件が地域によって大きく異なるだろうことは言うまでもありませんから,最初からすべてがスムーズに進むとは思えないし,ケースによっては猛烈に重いフライホイールを回転させるために強烈なパワーが必要となることもあるかも知れません。
 だけど,地元のひとにも愛されないクラブが,全国区の人気を獲得する(獲得できたとして,長くその人気を維持する)ことは非常に難しいのではないでしょうか。


 クラブにとって「帰るべき場所」はホームタウン以外にはありません。


 ホームタウンをどう大事にするのか,ということを常に考え続けることでクラブの姿勢に共鳴してくれるひとたちが少しずつであっても増えていけばいい。そして,その共鳴効果がイロイロなところに波及していくことではじめて「全国区」的な人気というものが見えてくるのだろう,と思うわけです。