Japan v. Greece (Group C・#2).

たとえば,4の背後をどれだけ突けたか。


 グループリーグ初戦のような,「必要以上の慎重さ」を感じることはありませんでしたが,無意識的であるにせよ相手が狙う戦い方に合わせてしまった,という印象は残念ながら共通しているように感じます。グループリーグ第2戦,ギリシア戦であります。


 さて。まずは相手のパッケージであります。


 試合開始時点でのパッケージは4−3−3,いわゆる“シングル・アンカー”なパッケージであります。静的に見れば,中盤のシングル・アンカーのポジションが攻略すべきポイント,となりましょうが,実際にはちょっと「攻めあぐんだ」という印象が残っています。確かに攻撃を組み立てる段階では主導権を掌握していた,と見ることもできますが,組み立てから相手守備ブロックに対するチャレンジ,という段階で,相手守備ブロックを有効に揺さぶることができなかったように感じるのです。そのために,ボールを動かすことはできていたものの,なかなか相手守備ブロックに対して縦にチャレンジしていく姿勢を表現することができなかった。


 この傾向が,相手のセント・オフによってより固定化してしまったように感じるのです。


 退場処分を受けたことにより,相手はパッケージを4−3−3から4−4−1へと変更してきます。シングル・アンカーなパッケージから,どちらかと言うとフラットな4−4ラインで守備応対を徹底するパッケージへと移行してきたわけです。確かに,フィールド・プレイヤーがひとり欠けるわけですから,チームに(攻撃,守備応対両面において)負荷が掛かるのは当然です。しかしながら,チームがすべきことが明確になった,という見方もできるように思うのです。守備応対面での意識付けが,パッケージ変更によって強まった側面があるように思いますし,戦い方が明確になった相手に対して,相手守備ブロックを揺さぶる,という要素が抜けてしまったようにも思うのです。


 相手守備ブロック背後のスペースを使って攻撃をフィニッシュへ持ち込む,という局面は確かに作り出せていました。しかしながら,この局面が相当に限定されてしまっていた。ボールを積極的に動かす,という側面「だけ」を取り出すならば,第2戦では「らしさ」を取り戻すことができた,と見ることもできるかも知れません。知れませんが,ボールを積極的に動かして「相手守備ブロックを揺さぶる」ことができていたかどうか,そして,相手守備ブロックが見せた隙,クラックを縦に突く動きが見られたか,となると,多くは相手守備ブロックを有効に揺さぶることのできない,相手に対して脅威を与えることのないポゼッションになってしまった,という印象を受けるのも確かです。気候条件などを思えば,90分プラスを通して高い機動性を維持する,というのは不可能に近い話だと思いますが,機動性を高めて相手守備ブロックに対してチャレンジを仕掛ける時間帯をつくりにいく(縦にチャレンジを仕掛ける,そのためのギアを入れる),そんな姿勢をなかなか受け取ることができなかったのは残念です。


 ファースト・ラウンドはシンプルなラウンドロビン,1回戦総当たりの短期戦ですから,初戦で短期戦を乗り切るためのリズムをつかめないと,どうしても第2戦,第3戦に影響が出てしまう。セカンド・ラウンドへの切符を奪うために,この悪循環を跳ね返すだけのリバウンド・メンタリティが要求されていたと同時に,当然ながら「勝ち点3」奪取が要求されていた試合ですが,残念ながらこれらの要求を充足することはできなかった。まだ,セカンド・ラウンドへの可能性は残されていますが,セカンド・ラウンドに進出できるかどうか,ということよりも「自分たちが構築してきたフットボール」,強みに徹底してこだわって最終戦へと向かってほしい,と思います。