Japan v. Ivory Coast (Group C・#1).

ゲーム・コントロール面での問題も大事だけれど。


 「コンセプト」をどれだけ明確に表現できたのか,という部分の問題がより大きいように感じます。


 「2010年とは違う方法論」,守備応対面を基盤に戦い方を組み立てるのではなく,攻撃面を出発点として戦い方を組み立て,勝負を挑む,という姿勢を明確に表現できていただろうか,と思うわけです。であれば,相手が戦術交代を仕掛けてきてからの時間帯での問題を指摘することも重要ではあるけれど,このチームでより大きな課題となるべきなのは,先制点を奪ってからの時間帯なのではないか,と思うのです。


 今年はちょっと早い時期からビンボー暇なしが襲ってきておりまして,夏休みには大幅に早いにもかかわらず長めのお休みをいただくことになってしまいました(こういう状態,結構波状的に襲ってくる見込みですので,週間より更新間隔が開いてしまうこともあり得ます。あらかじめ,申し訳ありません。)。積み残しが複数ございます(何とか,積み込みたいと思っております。)が,グループリーグ初戦(対コートジボワール戦)であります。


 さて。まずはゲーム・コントロール面,と言いますか,戦術交代を含めてのゲーム・マネージメント面を見ていこう,と思います。


 まず,戦術交代を仕掛けたのは日本であります。長谷部選手に代えて遠藤選手をピッチへと送り出します。長谷部選手のコンディションを考えて,という側面もありましょうが,やはり自分たちのリズムでボールを動かせていない,という意識もどこかにあったものと思います。守備応対面で狙う形へと相手を引き込めていないために,どうしても攻撃面でも距離感が微妙に変化してしまって,本来のリズムを表現することができない。この後手を,遠藤選手の投入によってちょっとでも自分たちのリズムへと引き戻そう,という意図があったものと思います。対して,コートジボワールが戦術交代を仕掛けるのはこの8分後であります。スターターとしてクレジットされていなかった,ディディエ・ドログバ選手の投入であります。


 ここで,後半立ち上がりの時間帯を見てみます。コートジボワールは,後半立ち上がりの時間帯から「縦」への意識を一段強めたのではないか,と感じます。この「縦」への意識をより明確にすること,攻撃面でのギアチェンジを明確に示すための戦術交代だったように思うわけです。この相手が仕掛けたギアチェンジに対して,適切な対応が取れなかった,のみならず距離感が決定的に悪化してしまった。チームとしての意識が,守備応対を基盤とすべきなのか,それとも攻撃面を基盤とし続けるのか,不明確な状態に陥ってしまったように思います。


 この課題,実際には先制点を奪ってからの時間帯から継続する課題ではなかったか,と思うのです。


 相手を自分たちの戦い方へと引き込む,そんな戦い方が今節は抑え込まれてしまっていたように感じます。後半に決定的な要因となってしまった距離感の悪化ですが,前半段階でも決して距離感は日本の距離感ではなかったように感じます。高いエリアからのボール奪取もなかなか仕掛けられていなかったし,ボール奪取からのパス・ワークにしてもシンプルでリズミカルな印象は強くない。先制点,という先手を取ったものの,戦い方という側面で見ると,残念ながらコートジボワールの後手を踏む時間帯が長く,なかなかこの後手を精算できなかったように感じるのです。


 初戦を落としたことで,グループリーグの戦い方が限定されてしまったのは確かです。けれど,まだすべての可能性が否定されているわけではありません。むしろ,このチームが「戻るべき場所」がどこにあるのか,明確になったのではないか,と(いささか希望的な観測ですけど)思います。次節に向けて切り替えるのではなく,自分たちが築き上げてきたフットボール,狙うフットボールをどれだけピッチで表現できるか,ということに徹底してこだわってほしい,と思っています。