対新潟戦(14−GL#5)。

内容面から見れば,恐らく“NOT OUR DAY”。


 浦和と同じ戦術的なパッケージを持ち込み,「数的同数」な状態で浦和の強みを抑え込む,というアプローチではありません。むしろ,自分たちのパッケージを出発点として浦和の強みを抑え込むための約束事を徹底する,というアプローチを今節の対戦相手は持ち込んできました。このアプローチに対して,浦和は自分たちの戦い方へと相手を引き込むきっかけをつかみきれなかった。むしろ浦和は,相手が狙う戦い方に嵌め込まれ,なかなか抜け出すことができなかった,と言うべきかも知れません。


 しかしながら,結果において“NOT OUR DAY”な状態に陥ることなく,セカンド・ラウンド(決勝トーナメント)進出に向けて大きな意味を持つ「勝ち点3」を奪取できた。戦術的にクリアすべき課題はあるものの,自分たちから焦れることなく試合を動かし,勝ち点を引き寄せるという戦い方ができていることをポジティブに見るべきだろう,と思うのです。グループリーグ第5節,アウェイ・マッチな新潟戦であります。今回も,ちょっと短めに思うところを書いておこう,と思います。


 さて。課題面でありますが。


 パッケージの微調整も作用しているものと思いますが,この試合では攻撃ユニットが相手に抑え込まれてしまった,という印象があります。相手は浦和のパッケージに対して数的同数な状態をぶつけることはしないものの,攻撃ユニット(1トップと,アタッキング・ミッドフィールド(インサイド・ハーフ))に対するマークを徹底してきました。相手が表現してきた守備応対面での約束事に対して,どのような打開策を描き出し,相手が狙う戦い方から自分たちが描き出すべき戦い方へと引き戻していくか。この部分がなかなか描き出せなかったように思うのです。また,この試合では攻撃ユニットの距離感を適切に保持できない状態へと追い込まれていたようにも感じます。攻撃ユニットが描き出すべきコンビネーション,という部分で再確認すべき要素もあると思いますが,同時にセントラル・ミッドフィールドやアウトサイド・ハーフを含めたコンビネーションをどのようにして引き出し,相手のタイトなマークを引き剥がしていくか,チームとしての約束事を確認しておく必要があるのかな,と感じます。


 対して,ポジティブな部分であります。


 攻撃面でなかなか自分たちの形へと持ち込みきれない,となると,自分たちからバランスを崩して攻撃面にウェイトを傾けてしまう,という傾向が昨季はかなり色濃かったように思うのですが,今季については守備応対面でのバランスをしっかりと意識して試合を動かす,という姿勢が明確になっています。今節は,相手が縦に速い攻撃を徹底してきたこともあり,高いエリアからの守備応対がなかなか機能せず,そのために守備応対面でのポジショニング・バランスをなかなか整えづらい状態にあったかな,と思うのですが,それでも最終ラインが低い位置に押し込まれるという形を相当程度に抑え込むことができていたように感じます。


 さてさて。カップ戦(グループリーグ)3連戦,その初戦で勝ち点3を奪取できたこと,も当然に重要ですが,「授業料」を支払う(勝ち点0に抑え込まれる,あるいは勝ち点1にとどまる)ことなく,数的同数なパッケージで浦和の強みを抑え込む戦い方とは違うやり方で,浦和の強みを抑え込もうと狙う相手に対してどのような対策を用意すべきか,という課題を明確なものとできたことは「勝ち点3」と並ぶ大きな収穫ではないか,と思います。