対大宮戦(14−13A)。

数字だけで見れば,前節と同じ。


 けれど,数字が同じであっても戦い方までが同じとは限らない。この違いが,「勝ち点3」を積み上げるための鍵として作用したように感じます。相変わらずの遅筆堂でございます。でありますれば,今回も短めに思うところを書きとめておこうと思います,のアウェイ・マッチな大宮戦であります。今回は,あえて反対側の視点を持ち出すところからはじめてみよう,と思います。


 さて。今節の対戦相手は,浦和との対戦ではストリクト・マンマークを採用していたように記憶しています。自分たちの強みを表現することを出発点に戦い方を組み立てる,というよりも,浦和の強みを徹底的に抑え込むことを出発点に戦い方を組み立てていたように思うのです。そして,ボール・コントロールを浦和から奪ってからのイメージも明確に落とし込まれていたようです。守備応対面を基盤とする戦い方ではあるけれど,「勝ち点3」を引き寄せるための方法論としてストリクト・マンマーク,という手段を位置付けていた。



 このイメージをもとに,今節の戦い方を振り返ってみると,です。


 確かに,数字としては浦和と同じ3,であります。であれば,ストリクト・マンマークを落とし込むこともできるはず,ですが,ストリクト・マンマークを採用してきたようには感じられない。ならば,守備ブロックとしてどのように連動した守備応対を仕掛けていくか,というイメージが描き出される必要性があると思うのですが,ボールホルダーに対するアプローチが徹底されているという印象も決して強くはない。また,ボール・コントロールを奪ってからの戦術イメージも明確に描き出せているとは感じられない。浦和に対して3をあてる,という意味では前節の対戦相手も同じだったわけですが,守備応対面でのオーガナイズであったり,トランジットからの攻撃イメージ,という要素を冷静に眺めてみると,戦い方としての徹底度に相当程度の差が感じられる,そんな状態ではなかったか,と思います。


 対して,浦和であります。


 今節も,パッケージに微調整を施してきています。セントラル・ミッドフィールドを,阿部選手と柏木選手のコンビネーションから,阿部選手と青木選手のコンビネーションへと変更しています。そして,柏木選手はポジションをアタッキング・ミッドフィールド(インサイド・ハーフ)へと変えて,インサイド・ハーフに入っていた興梠選手が1トップの位置に戻る。1トップとインサイド・ハーフ,そしてアウトサイド・ハーフ(平川選手と宇賀神選手)との関係性で見ると,2013シーズン型のパッケージへと戻した形,であります。この微調整,攻撃面と守備応対面,両面で鍵を握っていたように感じます。たとえば,高い位置からボールを奪いにいくときに,柏木選手がポジションを上げている効果が出ていたように感じますし,攻撃リズムを引き出すための距離感,という側面を見ると,興梠選手が巧みにボールを収めてくれること(周囲の動きだしを促す,ちょっとした時間を稼いでくれること)が効いているように感じられます。


 さてさて。今節だけでなく,連戦を振り返ってみるに,です。


 連戦初戦である,日立台でのアウェイ・マッチが「貴重なレッスン」として機能しつつあるのではないか,と感じます。Jは欧州のリーグ戦とは違って,アウェイ・マッチであっても積極的に「勝ち点3」を狙う姿勢が重要だと感じます。であれば,攻撃的な姿勢を崩すわけにはいかないのも確かですが,反面で「勝ち点1」の確保を冷静に狙う,という姿勢も必要であるはずです。相手に主導権を奪い返され,後手を踏む形にまで追い込まれる。後手を踏まないためには何が必要か,も当然に重要ですが,試合をイーブンへと引き戻したあとの戦い方で,時間を意識した柔軟さ,も求められていたように思います。理想と現実とのバランス,そのバランスを柔軟に動かすことが求められたように思うわけですが,その後の中野田での試合,そして国立霞ヶ丘では,「らしさ」という部分ではなくて,現実的な試合の動かし方にちょっと軸足を置いて勝ち点を引き寄せてきた。そして,大宮公園では,先手を取ったまま主導権を渡すことなく,「勝ち点3」を積み上げた。ゼータクを言えば(レバタラ論を持ち出せば)違う見方もできるかも知れませんが,しっかりと連戦を乗り切ったことはポジティブに評価していい,と思います。