対甲府戦(14−12A)。

リスクを背負わないと,守備的に構える相手を崩しきるのは難しい。


 けれど,チームとしての意識が攻撃面に「過度に」傾いてしまえば,相手に隙を与えることになる。そして相手は,隙を見せる(チームが前掛かりになる)タイミングを狙い続けていたようにも映る。どのタイミングで,チームが積極的に攻撃面へとウェイトを傾けていくのか,という要素が課題として提示された,と見ることもできるように思いますが,反面で連戦によるコンディション低下がチームとしての機動性,ゲーム・インテリジェンスに影響を及ぼしていたようにも感じます。また,今節は前節までと違い,セットプレーから試合を動かしていくことができなかったことも大きな鍵となったように感じます。


 相変わらずの遅筆堂,なアウェイ・マッチの甲府戦であります。今回は守備応対面と攻撃面をちょっとだけ振り返ってみよう,と思います。


 さて。まずは,攻撃面から振り返ってみよう,と思います。個人的にちょっと気になったのは,アウトサイドでのコンビネーション,であります。たとえば,相手守備ブロックに対してチャレンジを仕掛けていくとして,SBがアタッキング・ミッドフィールド(アウトサイド・ハーフ)のポジショニングを意識してボールを動かす,という局面が今節は少なかったように感じるのです。アウトサイド・ハーフがフリーランを仕掛けている,ポジショニングで相手に対して先手を取っているとして,そのフリーランを生かすようにパスを繰り出し,相手守備ブロックの意識を外側へ引っ張り出す局面が限定的になってしまった。コンビネーションによって数的優位な状態を相手守備ブロックに対して意識付ける,というよりも,単独の「個」で相手守備ブロックに対してチャレンジする局面が多かったように感じるわけです。1トップとインサイド・ハーフは相手守備ブロックの守備応対によって,窮屈な状態でのプレーを強いられていたように感じます。この相手守備ブロックの意識を,組織として外側へと引っ張り出す。そのためのアイディアが,なかなか表現されずに終わってしまったことはもったいない,と感じるところです。


 対して,守備応対面であります。


 ここでちょっとだけ,相手の戦い方を考えてみます。守備応対面を基盤として戦い方を組み立てる,だけでなく,ボール・コントロールを奪ってからのイメージも落とし込まれていたように感じます。感じますが,攻撃ユニットの距離感,という部分で課題を抱えていたのではないか,と感じます。ボールを収めたあとのポジショニング・バランス,であります。この距離感のアンバランスを,浦和はしっかりと突くことができていたように思います。また,相手が狙っていただろうカウンターへの意識もピッチに表現されていたように感じます。ゲーム・マネージメント,特に守備応対面でのマネージメントは安定していた,と見ることができるように思います。


 ゴールネットを揺らすことなく,90:00(実際には,アディショナル・タイムが加わっていますが。)が経過してしまったわけですから,この試合から課題を取り出し,チームの戦い方へと反映させていく必要は当然にある,と思っています。恐らく,今節の対戦相手と同じように,守備的に試合を動かそうとしてくるチームはこれからも出てくるはずです。そのときに,今節での課題を生かせるかどうか,がより重要であるはずです。と同時に,守備的に構える相手に対して,自分たちからバランスを大きく崩す,という事態に陥ることなく,最低限の勝ち点であるにせよ,勝ち点を積み上げることができたことはポジティブな要素だろう,と思います。