対柏戦(14−09A)。

45:00から,60:00を経過するあたりまでの時間帯。


 この時間帯が,今季の課題になっているように感じます。たとえば,前半段階では対戦相手を狙う戦い方に嵌め込めていたとしても,後半立ち上がりからは正反対の構図に嵌り込んでしまいがちになる。相手の狙う戦い方に引き込まれてしまうと,守備応対が相手を受け止める形に傾いてしまって,なかなか後手を踏む状態から抜け出せない。この時間帯をどう戦うか,が今節においても問われてしまったように感じます。


 アウェイ・マッチな柏戦,であります。


 さて。後半立ち上がりから60:00前後までの時間帯,であります。


 なかなか守備応対面で自分たちの形に相手を引き込めない,むしろ相手の攻撃を「受ける」守備応対に追い込まれている形が多いように感じます。今節も残念ながらこの構図に嵌り込んでしまったように思うのですが,今節にあっては相手が仕掛けてきた戦術交代も大きな鍵となっているように思います。そこで,ちょっとだけ相手視線でこの戦術交代を見てみます。


 まず,前提として今節はいわゆる“ミラーゲーム”であります。同じ戦術的なパッケージを採用している,というわけです。であれば,どこかのエリアで1on1を剥がすことができれば,主導権を引き寄せるきっかけをつかむことができる,ということになります。このことを裏返せば,1on1での問題点を解消できれば,主導権を引き戻すのみならず,相手を自分たちの狙う戦い方へと引き込むこともできる。そこで相手は,セントラル・ミッドフィールドに微調整を掛けてきます。セントラルでの主導権を引き戻すことで試合の主導権を引き寄せ,浦和を自分たちの狙う戦い方へと引き込む。そんなメッセージが,後半立ち上がり段階での戦術交代には落とし込まれていたように思うのです。


 もともと,今季にあってリズムを失いやすい時間帯でもあるのですが,今節も後半立ち上がりからの時間帯でリズムを掌握しきれず,相手が狙う戦い方へと引き込まれるような形に陥ってしまった。結果として,相手に試合をイーブンな状態へと引き戻されてしまう。それでも,1−1に持ち込まれてからの時間帯では,戦い方のリズムを取り戻すことができていたように思います。PKによってビハインドを背負う形にはなったけれど,ポジティブに見るべき要素もあったように思うのです。


 むしろ,課題として見るべきなのは,2−2としてからの時間帯をどう戦うか,ということではないかと思います。


 2−2へと持ち込んだ時間帯,そこからタイムアップまでの時間を考えれば,「勝ち点3」を狙うためのアプローチも重要ですが,同時に時間経過に応じたアプローチの変化も求められるように思います。確かに,梅崎選手から関根選手,そして忠成選手から青木選手への戦術交代は攻撃的な部分についての戦術的メッセージと受け取れますが,残り時間を思えば欧州的なアプローチ,「勝ち点1」を確保するというアプローチも当然に意識されるべき,でありましょう。


 タイトル奪取を現実的な目標として掲げているのであれば,「勝ち点1」を確保する(勝ち点を着実に積み上げていく)という方向にも意識が向かなくてはいけない。戦術的な部分からも課題は指摘できるものと思いますが,今節にあっては「意識」という部分での課題が大きかったように感じます。