対名古屋戦(14−07A)。

勝ち点3は,「理」だけで導けるものではない。


 その通り,だと思います。野村さんが言う,「勝ちに不思議の勝ちあり」ではありませんが,勝負事では幸運を味方に付けることも求められるものと思っています。


 けれど,幸運を引き寄せるためには,「理詰め」のアプローチが必要になるはずです。このアプローチが外れてしまうと,自分たちの強みを自分たちから手放す結果にもなりかねません。幸運を味方に付けようにも,その前提を失いかねないように思うわけです。これまでは,先制点を奪われてしまうことが,理詰めのアプローチを外してしまうきっかけになっていたように思うのですが,今節は外れることがなかった。理詰めで相手に対してチャレンジを仕掛ける,という姿勢が失われなかったこと,この理詰めのアプローチの上に「勝ち点3」を積み上げることができたのは収穫ではないかな,と思っています。


 相変わらずの遅筆堂でありますが,アウェイ・マッチな名古屋戦であります。ですので,いつものように思うところをちょっとだけ書いておこう,と思います。


 今回はまず,ちょっと対戦相手方向から試合を振り返ってみることからはじめてみよう,と思います。


 浦和の強みを潰すために,どのようなアプローチが必要か。逆に,浦和の弱みを突くためには,どのような戦い方をすべきか。前者については,広島との対戦がヒントとなるはずですし,後者については,浦和の試合をスカウティングすることで導けるものと思います。「浦和対策」を描き出そうと思えば,恐らく相当程度の戦い方が描けたものと思います。実際に,かつて西野さんが率いたG大阪は浦和との対戦に際して戦い方の微調整を施していた,という記憶があります。しかしながら,実際には浦和対策を意識した戦い方,とは感じられませんでした。狙う戦い方をスムーズに落とし込めていない,という意識が作用しているのかも知れませんが,自分たちの戦い方に集中することを優先するアプローチであったように感じるわけです。


 となると,浦和としては自分たちの戦い方に相手を嵌め込む,その前提が用意される,ということになります。なりますが,早い時間帯に先制点を奪われてしまう。これまでならば,「大きな誤算」になりかねない形,であります。ビハインドを背負ってしまうことが,チームから約束事を外させてしまう要因となっていたように思うのですが,今節については相手に対するアプローチが揺らぐことはありませんでした。今節における大きな鍵は,この部分にあるように思います。


 ディテールな部分で見れば,修正すべき部分やさらに煮詰めるべき要素は確かにあるな,と思います。また,先制点を奪われたこと,その局面がどのようにして発生したのか,という部分は当然に修正すべき課題です。「理詰め」で攻撃を組み立てることはできているけれど,最終的な部分での微妙なズレを潰すこと,守備応対面で,なかなか抑え込めていないズレを潰すことなどが,結果を引き寄せるにあたっては大きな意味を持つし,理詰めの戦い方を組み立てながら勝ち点を奪えなかったとすれば,自分たちの戦い方への信頼がともすれば揺らいでしまう。であれば,ギリギリの時間帯であったとしても決勝点を奪えたこと,そして「勝ち点3」を積み上げることができたことは,自分たちが狙うフットボールへの確信,信頼を深めていくためにも大きな意味があったのではないかな,と思います。