跳。

最も完成度が高い「魂動」かな,と。


 そんなことを思わせる,魅力的な“コンセプト”であります。



 こちらの記事をもとに,マツダジュネーブ・ショーに出展したコンセプト,「跳(HAZUMI)」について書いていこう,と思います。


 さて。いつも通りにデザインな話からはじめます。が,オフィシャル・フォトを見る限り,「生産型」を予告しているかのような完成度なのは外側で,内側はショーモデル的なコスメティックがかなり施されているようです。当然,生産型に反映される部分もあるのかな,とは思いますが,個別要素の判断は難しいものがあります。そこで今回は外側に集中して見ていきたい,と思います。


 まず,フロント・セクションでありますが,コンパクト・クラスにあっても相当にスポーティなイメージでデザインされているようです。バンパーのデザイン処理を眺めてみると,LMPマシンであったりGTマシンを思わせるデザイン処理が施されています。また,これまでの「魂動」デザインで最も“エッジ”を打ち出しているように感じられます。グリルとライト・ハウジングとの関係性を見ると,確かにCX−5やアテンザなどとの共通性が持たされてはいるのですが,たとえばアテンザは比較的落ち着いた雰囲気を持っているのに対して,この跳はスポーティなイメージをライト・ハウジングなどの造形で表現しようとしているように思うのです。


 視点をサイドからリアに移すと,グラス・セクションなどの部分で現行型のイメージを巧みに引き継いでいるように感じます。アクセント・ラインなどを眺めてみるとプレマシーなどで採用された曲線モティーフを感じますが,フロント・フェンダーやリア・フェンダーなどを見る限り面構成でも勝負する,という方向性を打ち出しているように感じます。と見てみるに,新興国市場での嗜好を強く意識している(ように,少なくとも外野には感じられる)国産コンパクトにあって,貴重な例外とも言えるデザインを持ち込んできたように思います。生産型にどこまでこのデザインが反映されるか,外野からはなかなか判断が難しいものがありますが,ほぼこのイメージを引き継いでくれるものと期待しています。


 続いて,メカニカルな部分であります。


 個人的に最も期待しているのが,1500cc・ディーゼルエンジンであります。すでに2200cc・ディーゼルターボを国内導入しているマツダでありますが,このエンジンはさすがにデミオ・クラスのエンジン・ベイには収めるのが難しい,と言いますか,車格的に搭載が難しいものがあるはずです。であれば,デミオにはディーゼルは難しいのかな,と思うところもあったのですが,欧州市場で存在感を示してきたマツダからすれば,小排気量ディーゼルは欧州市場で勝負を挑むにあたり,タマとなるエンジンであるはずです(この「跳」を見るに,現行型よりも大きなエンジン・ベイを用意しているようです。ガソリン・エンジン車を含め,排気系の取り回しが楽になるのではないでしょうか。)。そんなエンジンを,「跳」の発表とあわせて公開してきたようです。現段階において,国内市場に投入されるのかどうか,明確なアナウンスメントはないようですが,より広い選択肢を,と思っている立場からすれば,小排気量ディーゼルをぜひとも国内市場でも用意してほしい,と思っています。