組み合わせ決定(第51回日本選手権)。

今季は1回戦から真剣勝負,であります。


 昨季までは,決勝戦へと駒を進められなければ,日本選手権への出場権を獲得することはできませんでした。今季は,準決勝に進出した段階で指定席切符が用意されます。今季からは,4チームが日本選手権で戦うことができるわけです。


 これは小さいようで,かなり大きな変更ではないか,と思っています。


 大学リーグという枠組み「だけ」にとどまるチーム・ビルディングから,トップリーグを主戦場とするチームと真正面からの勝負を挑み,相手を退けることまでを視野に収めたチーム・ビルディングをする。数季前,清宮さんが監督を務めていた時期の早稲田大学や,ここ数季の帝京大学は大学の枠組みを飛び越えたチーム・ビルディングを意識しているように思いますが,そんな「飛び越えた」チームがもっと増えていく,そんな刺激を与えるトーナメント形式の変更であるように思うわけです。


 今回は,楕円球方面なフットボールの話,ラグビー日本選手権の組み合わせと会場が決定したことについてJRFUのリリースをもとに書いていこう,と思います。


 さて。今季のトーナメント・ドローを眺めてみますと,全国クラブ大会覇者と,トップチャレンジシリーズ最上位チームのクレジットが消えております。今季は,トップリーグ勢と大学勢だけで日本選手権が戦われる形へと変更を受けたわけです。そこで今回は大学勢(ということは,1回戦段階)にフォーカスしてみよう,と思っております。


 昨季までは,トップリーグを戦うチームとの対戦を実現するためには,全国クラブ大会覇者,あるいはトップチャレンジシリーズ最上位チームとの対戦を制する必要がありました。対して今季からの日本選手権は,1回戦の段階でトップリーグ勢との対戦が用意されています。近鉄花園では,第1試合に慶應義塾スティーラーズ,続く第2試合では筑波とブレイブルーパスが組まれています。秩父宮では,第1試合に早稲田とジュビロ(もちろん,トップリーグを戦うチームのジュビロであります。)の対戦が組まれ,第2試合には帝京とヴェルブリッツの対戦が用意されています。昨季までとは違って,「助走」が用意されていない状態でトップリーグとの真剣勝負を戦うことが求められる,という言い方もできるかな,と思います。そんなトーナメントのなかでどれだけのアップセットが実現するのか(それとも,トップリーグ勢が大学勢のチャレンジを跳ね返していくのか),というのが注目かな,と思っているわけです。


 自分たちの持っている強み,という部分を強く感じさせるのは,やはり帝京大学ではないか,と思っています。自分たちの戦い方に相手を早い時間帯で嵌め込み,相手を混乱させることができれば,真っ向勝負も決して難しい話ではないのではないか,と思っています。ではありますが,大学選手権の決勝戦を思い返してみるに,主導権を手放してしまったかのような時間帯がちょっと気になります。トップリーグを戦うチームは,ちょっとした隙を的確に突いてくるでしょうし,流れを引き戻すとそう簡単に流れを譲り渡すことはないだろう,とも思います。80分を通じてしっかりと試合をコントロール(相手に隙を見せず,相手を混乱状態に置き続けることが)できれば,彼らの目標でもあるだろう,トップリーグ勢を退けることができるのではないか,と思っています。


 また,国立霞ヶ丘での決勝戦を戦った早稲田大学にも期待をしております。


 国立霞ヶ丘での決勝戦を思い返してみると,主導権を相手に掌握されていても大きく戦い方を揺るがせる(自分たちから混乱してしまう)ことがないし,逆に相手が見せた隙を的確に突いてリズムを引き戻すことができていたように思います。この決勝戦を見る限り,縦の鋭さは相当な武器だろう,と思っています。この,縦の鋭さをフィールドに表現する時間帯をどれだけ大きくできるかが,ジュビロを慌てさせるための大きな要素なのではないか,と思っているのです。


 今季からの変更は,かつての日本選手権をちょっとだけ思い起こさせる,そんな変更ではないか,と思っています。


 大学選手権を制したチームと,全国社会人を制したチームが一発勝負を戦う。実力差が大きく開いてしまったことで,この一発勝負という枠組みは変更されることになったわけですが,大学チームにしてみれば,最高峰のチームとの勝負を通じて,自分たちの強みがどこまで通用するか,逆に自分たちの弱みをどれだけ突かれてしまうのか,体感できる大事な舞台だったように思います。


 レベルの高いチームとの対戦を通じて,より高いレベルでのチーム・ビルディングを意識する。これは2019に向けても大きな意味を持つものと思います。以前も書いたか,と思いますが,2019に向けた時間は決して多くはありません。そして,2019で中核となるのは,いま高校年代や大学年代の選手たちであるはずです。彼らの強化環境がそのまま,2019に向けた強化環境になる,とも見ることができるでしょうか。大学チームの出場枠が拡大されたことは,2019に向けた強化施策としても決して小さくない意味を持つものと思いますし,ぜひとも意味を持たせてほしい,と思っています。