POTプレビュー(ラグビー・トップリーグ)。

今季から,トーナメント形式が大幅に変更されています。


 昨季までは,1回戦総当たり制を採用していました。1回戦った相手と,もういちどリーグ戦を戦う,ということはありませんでした。対して今季は,もういちど同じ相手と戦う,その可能性があるわけです。今季のトーナメントはまず,前期(ファーストステージ)として,16チームをプールAとプールBの2つに分割,8チームでのリーグ戦(1回戦総当たり制・全7節)を戦います。たとえば,この前期リーグにおいて上位に入ったそれぞれ4チームは,後期のグループリーグ(セカンドステージ)において,同じグループAに入ることになります。外形的には,1回戦総当たり(全7節)のリーグ戦が前期,後期と用意されるのですが,実質的には2回戦総当たりの試合が3試合用意される,と見ることもできるわけです。


 そして,この対戦はさらに続く,と。今回は,楕円球なフットボールのお話を,2013〜14シーズンの順位表(トップリーグ・オフィシャル)をもとに書いていこう,と思います。


 ちょっとばかり,アメリカン・スポーツ的な見方をしますと。


 レギュラーシーズンでどのような戦いを見せてきたか,ということと,短期決戦とは必ずしも直線的には結び付かない場合がある,と思っています。であれば,短期決戦に向けてしっかりと戦い方を組み立てることができるチーム,相手の強みを効果的に抑え込みながら自分たちの戦い方へと相手を嵌め込む,その方法論を落とし込めたチームがプレーオフ・トーナメントで存在感を示すことができる,と言いますか,少なくともその可能性があるかな(もちろん,過去数季のサンゴリアスのように,突き抜けたパフォーマンスを示すチームも当然にありますが。),と思うわけです。


 個人的に注目しているのは,シーズン無敗でレギュラーシーズン(後期リーグ戦)を終えたワイルドナイツと,彼らとの試合を僅差で落としたブレイブルーパスで戦われるセミファイナルであります。


 ワイルドナイツは後期リーグ戦,サンゴリアスとの試合では守備応対での距離感を微調整してサンゴリアスの強みを抑え込む,という戦い方を徹底してきたように思うのです。この戦い方を,ブレイブルーパスに対しても徹底できるか,がひとつの鍵かな,と見ています。セカンドステージの対戦を振り返ると,ワイルドナイツは僅差の試合を制しています。ブレイブルーパスにしてみれば,この僅差を自分たちの側へと引き寄せるために何が必要か,この対戦から何らかのヒントを見出しているかな,と思います。相手が持っている強み,その強みを効果的に抑え込みつつ,自分たちの強みを表現する。この循環に,どちらが早く持ち込むことができるか。セミファイナルの段階で,なかなか面白い試合になるのではないか,と思っています。


 もうひとつのセミファイナルは,サンゴリアススティーラーズで戦われます。後期リーグ戦では,サンゴリアススティーラーズを抑えていますが,サンゴリアスの戦い方を振り返ってみると,昨季までの鋭さがちょっとだけ抑え込まれているかな,という印象があります。また,ワイルドナイツとの試合ではサンゴリアス独特の攻撃リズムを抑え込むためにどのような守備応対をすべきか,ひとつの回答をワイルドナイツが出してきたように思います。スティーラーズも,恐らくこの試合を研究しているはずです。自分たちの守備戦術と,ワイルドナイツが見せた守備応対をどう組み合わせるべきか,考えていると見るのがフェアでしょう。当然,サンゴリアスも,自分たちの戦い方が研究されていることを前提に,戦い方の微調整,あるいは精度アップを狙ってくるはずです。


 単純に,試合数は昨季ベースで1試合減少していますし,実力が拮抗するチームとの対戦を増やすことで強化環境を整備するという今季のトーナメント形式変更,その背景にある意図は理解できるものの,まだまだ,2019に向けた強化環境としては不十分だろう(カップ戦である選手権があるとしても,です。),と思っています。それだけに,ひとつひとつの試合,その重要性は増している,ということもできるかな,と思います。見ているひとに強い印象を残す,そんな短期決戦を期待したいと思います。