サントリー・サンゴリアス対パナソニック・ワイルドナイツ戦(2st・第3節)。

斜めを抑え込むために,どんな守備が必要なのか。


 この課題に対して,ワイルドナイツは明確な戦術イメージを描き出すことができたのではないかな,と思います。この戦術イメージのなかに,サンゴリアスは「嵌め込まれて」しまった。これまでは,ワイルドナイツサンゴリアスが狙う戦い方に嵌め込まれてしまっていて,なかなか自分たちが狙う戦い方へと引き戻すことができなかったのですが,今節はワイルドナイツの狙い通り,ではないでしょうか。


 さて。秩父宮での第2試合,サンゴリアスワイルドナイツの試合であります。


 では,サンゴリアスの印象から書いていきたいと思います。


 接点から,自分たちのリズムでボールを引き出すことができない,“バッドボール”な状態からなかなか抜け出すことができなくて,そのために攻撃リズムが微妙な狂いを生じていたように思います。試合終了が見えてきた時間帯,相手が見せた隙を突いて反撃を仕掛けることはできたかな,と思いますが,基本的にはリズムの微妙なズレをなかなか解消することができずに終わってしまった,という印象が強く残っています。


 ボールを動かす,という部分だけで見れば,サンゴリアスはある程度,自分たちの戦い方を表現できていたかな(とは言え,チームとしてトップ・フォームとは言い切れないようにも感じましたが。),と思います。思いますが,ボールを動かすという部分と,相手守備ブロックが見せる隙を突く,という部分が結び付いてはいなかった。むしろ,相手守備ブロックの徹底した守備応対に対して,なかなか隙を突く,相手守備ブロックに対して斜めにチャレンジを仕掛けるタイミングをつかむことができず,攻撃リズムを狂わせていたように思うわけです。当然,このことを反対側から見れば,ワイルドナイツは斜めのタイミングをつかませない守備応対を徹底してきた,ということになるはずです。そして,この守備応対の鍵を握っていたのは,ポジショニング(距離感)ではなかったかな,と思います。


 ということで,ワイルドナイツの印象であります。


 どちらかと言えば,ワイルドナイツは守備応対面でリズムをつくるチームかな,と思っていますし,守備応対面で相手を嵌め込むことができないと自分たちの戦い方へと相手を引き込むことが難しい,そんなチームではないか,と見ています。その意味で,これまでのサンゴリアスとの試合では,なかなかサンゴリアスの攻撃を抑え込むための戦術イメージが描ききれなかったのではないか,という印象を持っています。接点を制する,という部分に意識を強く振り向けているがために,数的不利なエリア,と言いますか,ライン・ディフェンスが手薄なエリアをつくり出すことになってしまって,結果としてサンゴリアスに「斜め」を狙われていた,という印象を持っているわけです。


 今節,ワイルドナイツは守備応対面を基準に戦い方を組み立てる,というプランを組むとともに,守備応対面では「距離感」を意識したポジショニングを徹底していたのではないか,と思っています。正確な表現ではないかも知れませんが,接点へ「飛び込み過ぎないこと」,ファースト・ディフェンスを厳しく仕掛けることを前提に,斜めへのチャレンジを仕掛けにくいポジショニング,接点とラインとの距離感(接点にひとを掛けすぎないようにすると同時に,接点とラインとの関係性を整えておくこと)を徹底してきたのではないでしょうか。


 相手にボールは持たせても,斜めに仕掛けるタイミングはつかませない。そんな守備応対から,縦への速さ,鋭さを前面に攻撃を仕掛けていく。ここ数季,なかなかキックが攻撃面での鍵になりきれない状態が続いていたかな,と思いますが,今節はキックが攻撃面を機能させるにあたって,大きな武器になっているな,と感じます。後半,ちょっと「抜ける時間帯」が見えたのは課題ではないかな,と思いますが,基本的には自分たちが狙う戦い方に相手を嵌め込み,離さずに試合終了まで持ち込むことができたのではないかな,と思います。