東芝ブレイブルーパス対NECグリーンロケッツ戦(2st・第3節)。

ブレイブルーパスを相手に,どう戦い方を組み立てるか。


 チームとして,描くべきイメージは明確だったものと思います。また,ある時間帯まではブレイブルーパスをコントロールすることもできていた,ようには思います。でも,コントロールしきれない時間帯をつくってしまった。決して長くはない時間帯,の話ですが,この時間帯が,グリーンロケッツにとっては大きな意味を持つ時間帯になってしまったような印象です。


 ラグビートップリーグ,そのセカンドステージ第3節であります。


 今季からトップリーグは大きく大会形式が変更され,まずファーストステージとして,全16チームをプールAとプールBの2つに分け,1回戦総当たり戦のリーグ戦を戦います。このラウンドロビンの成績上位8チーム(各プールでの1位から4位)がグループA,下位8チーム(各プールの5位から8位)がグループBへと振り分けられ,再び1回戦総当たり戦のリーグ戦を戦います。これが,セカンドステージというわけです。


 第2節終了時点で,ブレイブルーパスは2勝,対するグリーンロケッツは1勝1敗という成績です。プレーオフ・トーナメント進出を確実なものとするためには,お互いに負けられない,と言いますか,勝ちたい試合ではなかったか,と思いますが,そんな部分が試合にも出ていたように思います。


 では,グリーンロケッツの印象から書いていきますと。


 攻撃面,守備応対面両面において,表現できた要素はかなり多いのではないかな,と思います。それだけに,4点差でこの試合を落としたのはもったいない,と感じます。立ち上がりの時間帯,自分たちの攻撃を表現すると同時に,相手の攻撃を抑え込んでいたな,と思います。思いますが,この時間帯に引き寄せかけた流れをそのまま引き留められなかったこと(突き放すべきタイミングで,相手に差を詰められる,という形になってしまったこと),ハーフタイムを挟んで後半立ち上がりの時間帯,相手にリズムを持って行かれてしまったことが,この試合では大きな鍵になってしまった,と思うのです。


 接戦に持ち込んで,「勝ち点」の積み上げを狙う。


 グリーンロケッツがこのような戦い方を狙っていたとして,ある程度この狙いは描き出せたのかな,とは思います。思いますが,接戦に持ち込むだけでなく,「勝ち点」を積み上げるためには,チャンスを確実に得点へと結び付けることが求められます。その意味で,チャンスを得点に結び付けられなかったことが,4点差に結び付いてしまったかな,と思うのです。


 対して,ブレイブルーパスであります。


 立ち上がりの時間帯だけを取り出せば,グリーンロケッツに試合をコントロールされてしまうかも,と思わせるものがあったのは確かです。攻撃面で表現すべきものをしっかりと表現しているようには思ったのですが,なかなかグリーンロケッツが仕掛けてくる守備応対を振り解くことができない。逆に,ボールをゴールエリアへと運んでいく(トライを奪う)という部分でも,グリーンロケッツに先手を取られてしまいます。試合の流れ,という部分から見れば,グリーンロケッツが流れを引き寄せかけている時間帯ではなかったか,と思うわけです。


 この流れを自分たちに引き戻す,その大きなきっかけになったのが26分前後の攻撃,特に9番が見せた積極的な姿勢ではないかな,と思います。グリーンロケッツの守備網に対して,縦だけを狙うのではなくて,縦を狙うために相手の守備応対に対して「斜め」にチャレンジを仕掛けていった。たとえば,サンゴリアスですと,この「斜め」を引き出すためのシークエンスがチームとしての約束事になっていますが,今節のブレイブルーパスは「個」の判断で「斜め」を表現して,トライ奪取へと結び付けていったように感じます。コンバージョンを積み上げることはできなかったものの,このあとの時間帯につながっていく,大きな局面ではなかったかな,と思うのです。


 攻撃面,と言いますか,攻撃の組み立てという部分では,決して自分たちの戦い方ができなかった試合ではないだろう,と見ています。むしろ,グリーンロケッツを相手に,しっかりと組み立てられていた,とも思います。ただ,この攻撃面での組み立てがフィニッシュという部分につながりにくい時間帯があって,その時間帯をグリーンロケッツに突かれることになった。この流れを,「個」が引き戻したというのは大きな収穫でありましょう。ただ,個人的にはこの9番が見せた「個」を,組織に組み込んだブレイブルーパスが見てみたい,というのも確かです。かつてのブレイブルーパスは,高い組織性を試合の中で表現していた,という印象を持っています。もっと,チームとして描くべきイメージを緻密にしていく,その余地を残しているように思うのです。


 ブレイブルーパスが描くべき戦い方のイメージ,そのイメージにとって,9番が表現した「斜め」は決して小さくないヒントになるのではないか,と思っています。