さあ、初戦へ(第93回全国高校ラグビー)。

言われて気が付く,ではなくて,自分から気付く。


 そんな姿勢が徹底されているチームのはずですから,心配はしていません。


 開会式を終えて,1回戦が始まった,全国高校選手権であります。ですので,フットボールではありますが,楕円球なフットボールの話であります。ではありますが,当然1回戦を俯瞰的に見よう,というわけではなくて,埼玉県代表である浦和高校に絞って書いていこう,と思っています。


 以前も書いたこと,ですが。


 浦和というチームに本格的に興味を持ったのは,熊谷ラグビー場,そのCグラウンドで彼らの戦い方を見たとき,と言いますか,監督さんの姿勢を間近で見てから,のことです。浦和を率いる監督さんは,選手に対して,何かを「指示する」ような言葉を使っていない,ということに気付いたのです。当然,試合での対話ですから,ひとつひとつの言葉,そのニュアンスには厳しいものが含まれています。けれど,何かを「する」であるとか「しない」ことについての指摘ではなくて,「何を見ていたか」,「何を考えてあのプレーを選択したのか」という部分での指摘をしていたように記憶しています。この姿勢は,リザーブの選手に対しても徹底されていて,ウォームアップをしている選手にも,しっかりとチームがどのような戦い方をしているのか,しっかりと「観察」することを求めていました。


 自分が試合に入った時に,何をすればいいのか。試合の流れを変えるのであれば,どのようなプレーをするべきか。


 具体的な指示ではなくて,選手ひとりひとりに「考える」ことを求めていたのです。このチームはいつか,必ず強くなってくるはずだ,と思いましたし,強くなってほしい,と思いました。


 ラグビーフットボールは,試合中に監督が具体的な指示をタッチライン際から出す,ということがありません。選手ひとりひとりが局面を読み取り,相手を自分たちの戦い方へと嵌め込む,逆に相手の戦い方から抜け出すために何をすべきか,戦術的なイメージを整えていく必要があります。自分たちのシークエンス,あるいはノームに相手を嵌め込む,その前段階にはやはり,相手の戦い方を見ること,その戦い方から見える隙を突く,弱点を突くことが求められるはずですし,これらのことをスムーズにこなすには,ひとりひとりが「考えるチカラ」を持っていることが求められるはずだ,と。


 ともすれば,遠回りに映るかも知れない,でも大事なことを徹底して,近鉄花園の舞台へと足を踏み込んでいった。浦和は1回戦段階で,第1グラウンドでの試合が組まれています。この,第1グラウンドという舞台で,可能な限り多くの試合をこなしてほしい,と思っていますし,彼らにはそれだけのポテンシャルがある,と思っています。自分たちらしく戦ってほしい,と思います。