対鹿島戦(13−29A)。

首位との差を詰められるか,それとも引き離されてしまうか。


 今節には,そんな意味もあったように思います。そして,首位との差を詰めることができた。できたけれど,この差を本当に意味あるものとするためには,ここからの戦い方が大事になってきます。


 アウェイ・マッチな鹿島戦です。相変わらずの遅筆堂でありまして,でありますれば手短な方向で。


 さて。大ざっぱに試合を振り返ってみますと。


 相手は,必要最低限の「浦和対策」を描いていたのではないか,と思います。もともとのパッケージを崩して浦和の戦い方に対応するのではなく,エリアを絞り込んで守備応対を徹底させる,という守備イメージを落とし込んでいたのではないか,と思います。サイドに対する意識よりも,センターへの意識,1トップに厳しく守備応対を繰り返す,という意識を徹底させていたように思うわけです。


 では,浦和はどうだったか,と。


 自分たちの戦い方に対する確信を取り戻したこと,特に守備応対面での約束事が明確になったことが大きく影響しているように感じます。高いエリアからプレッシャーを掛ける守備応対が徹底できていることで,低い位置での守備応対が安定するし,守備ブロックを高めの位置に置きやすくなることで全体のコンパクトネスが維持しやすくなる。当然,コンパクトネスが確保されているということは,距離感が安定するし,視界にパスを繰り出すべき相手が収まりやすくなる。今節にあっても,この循環はしっかりと機能していたように思うわけです。


 試合の流れを引き寄せる鍵となったのは,CKからの先制点奪取でありました。今季の浦和にあってCKからの得点奪取を重ねているフットボーラーに対して,相手は守備応対に長けたマーカーを付ける,という対応をしなかった。スカウティング,という意味で見れば,明確なスカウティング・ミスではないか,と思いますが,浦和はこのスカウティング・ミスを突き,得点奪取へと結び付けることができた。この先制点奪取によって,流れを大きく引き寄せることになったように感じます。


 後半,相手を数的不利な状態へと追い込みますが,物理的な数的優位,ということとは別に,ちょっとした難しさを抱え込んだかな,と思います。数的不利に陥った相手からすれば,ある意味で戦い方が明確になるわけです。守備応対面での安定性をベースに,鋭く逆襲を仕掛けていく,と。戦い方にブレがなくなってしまった,とも見ることができるように思うわけです。となると,数的同数のときよりも崩しにくくなる,可能性もあったように思うのです。それだけに,原口選手が挙げた追加点は大きな意味がある,と思っています。


 さて。マクラにも書きましたが,首位との差を詰められるか,それとも離されるか,という試合でありました。そもそも,何としても勝ち点3を奪い取りたい相手,ということも当然にありますが,勝ち点3を奪う意味が大きな試合だった,と思います。そして,勝ち点3を積み上げた。


 けれど,ここからが大事だな,と思います。チームは,総合力を問われる段階です。次節は,サスペンションによって主力選手を複数欠く状態になります。主力とは違う個性で,浦和が描くべきフットボールをしっかりと描き出すことが求められるわけです。今節詰めた差を,本当に意味あるものとするためにも,チームのチカラを表現してほしい,と思いますし,表現できるはずだと思っています。