対山形戦(3回戦)。

戦術的な約束事は,確かにイメージできているのでしょう。


 けれど,大事な要素が抜けていたような印象です。


 浦和駒場での天皇杯3回戦,であります。栃木ウーヴァFC戦のように,スターターを全面的に入れ替えて臨んだ試合,でありますが,この試合も2回戦での印象をほぼそのままにトレースしたような印象です。2013型の浦和,その「型枠」は明確にイメージできている,とは言えるかも知れません。けれど,ディテールでのズレがクリティカルなものになっていたな,と思います。


 山形は,3回戦を戦うにあたって,「浦和対策」を自分たちの戦い方に落とし込んでいたように思います。3とのギャップができる4を主戦としているけれど,ギャップをつくらないためのスライド,その意識が徹底されていましたし,守備応対も早い段階で強めのプレッシャーを掛けるように意識付けられていたように感じます。また,後方ビルドアップから縦へのスイッチ,を潰すために,攻撃ユニットへのマークが徹底されていました。


 この「浦和対策」に対して,どのような微調整ができたでしょうか。残念ながら,微調整以前の段階,だったように思うのです。


 立ち上がりの時間帯から,主導権をなかなか引き寄せきれない。相手が掛けてきたプレッシャーによって,心理的な部分で後手を踏み始めていたこともあるでしょうが,アンフォースト・エラーによって,自分たちからリズムを悪くしていたように思うのです。先制点を奪われた,その直後の時間帯にイーブンへと引き戻すことはできたものの,相手の後手を踏む,という形からはなかなか抜け出すことができなかった。


 自分たちがどう戦うか,が重要なのは当然です。そのための「気持ちの強さ」が大事なのも。でも,それだけで足りるか,と言えば,そうではない,とも思います。対戦相手が,どのような戦い方を意識し,実際にピッチで戦っているのか,観察することであり,その観察した結果をもとに,戦術的な約束事を表現するために必要なワンアクションを付け加える,であり。


 2013型,といいますか,2012型以降の浦和は,走力が絶対的な要件になっています。けれど,走力「だけ」が求められているわけではありません。ひとりひとりのフットボーラーに,インテリジェンスが求められている,とも言えるはずです。プレッシャーが掛かるなかで的確な判断を繰り返す,そんな実戦環境から離れているという部分が影を落としている,とは思いますが,冷静さ,状況に応じた適切なプレーを引き出す(ことに加えて,適切なプレーを引き出すための視野の広さをどれだけ確保できているか),という部分と,この試合にかける思い,という部分とのインバランスがかなり明確に看取された,そんな試合だったように思います。