全国高校「7人制」ラグビー新設。

確かに,ラグビーフットボールではあるのですが。


 フィールドに立つことのできる選手数も違うし,試合時間も大きく違います。であれば,7人制で特に求められる要素,というものも見えてきます。たとえば,1on1を回避するだけでなく,あえて1on1で勝負を挑み,数的優位な状態へと持ち込む。そのためのフィジカルであったり機動力であり,どのタイミングの1on1で勝負を挑むのか,という戦術眼もひとりひとりに要求されてくるはずです。


 これらの要素を,より早い段階で感じ取ってもらうには,真剣勝負が用意されることが最も重要だ,と。直近ですと2016,恐らく現段階での大きな目標は2020に設定されているはずですが,2020に向けた具体的な動きが見えてきた,ということになるでしょうか。


 今回はフットボール,ではありますが楕円球方面の話をJRFUのリリースをもとに書いていこう,と思います。


 さて。今回新設されるのは,高校年代の7人制ラグビー選手権であります。


 JRFUのリリースとこちらの記事を合わせてみると,各都道府県予選を勝ち抜いたチームに,開催県枠の1チームを加えた48チームをいくつかのグループに分け,まず予選プールを戦います。この予選プールを突破したチームで決勝トーナメントを戦い,優勝チームを決定する,とのことです。


 高校年代の全国選手権,というと年末年始に近鉄花園で開催されるトーナメントが思い浮かびますが,都道府県予選段階を考えてみると,参加チームが減少傾向にあるようです。埼玉県予選を思い浮かべてみても,合同チームというクレジットを見つけることができます。ひとつの高校では15人制を戦うことができない,そんな状態が見えてきています。このようなチームで,7人制に適性を持った選手が埋もれてしまうとすれば,もったいない話です。その意味で,都道府県予選段階であるにせよ,実戦を単独チームで経験できること,その実戦を通じて持っている能力を見てもらえる機会があること,というのは決して小さくない意味がある,と思うのです。


 また,強豪校視点からも悪くない話ではないか,と思っています。


 たとえば,近鉄花園の常連校,と呼ばれるチームで,選手層の分厚いチームがある,とします。そんなチームですと,実戦機会になかなか恵まれない選手もいる,と思います。15人制ですと,スターターとしての機会をつかみきれない選手であっても,ともすれば7人制に適性を持つ選手がいるかも知れません。彼らが持てる能力を発揮する,そんなチャンスとなるのではないか,とも見ているわけです。


 2020年を基準に考えるならば,いいタイミングでトーナメントを創設した,と言うこともできるかも知れません。ですが,2020年は2016年という基礎構造がなければいけない,と思っています。強化,という側面で見れば,ワールドセブンズの切符を取り逃がしたことは決して小さくない話です。中期的な視点が見えてきたことはいいことだと思いつつ,トップレベルでの強化戦略をどのようにして組み立てるか,特に2016に向けた強化戦略をどう描くのか,が同時に動いていないと,新設される高校年代のセブンズ,その意味は小さくなってしまうように個人的には感じるところです。