対FC東京戦(13−25A)。

組織的な対応と,ひとに付く対応とのバランス。


 どこまで組織的な対応をして,どのタイミングで組織的な対応を崩して,マークに付くべき選手への対応へと変えるか,という言い方でいいかも知れません。この切り替えが,残念ながら約束事で固められていないように感じられます。


 浦和が狙うフットボールは,攻撃面での機能性から設計されたものです。そのために,守備応対面での設計図はかなり曖昧なまま,であるように感じられます。相手を圧倒できるフットボールであるならば,攻撃面「だけ」を前面に押し出すこの設計図でも,大きな破綻を生じないかも知れません。しかしながら,今季の浦和は「タイトル奪取」を現実的な目標として掲げています。それならば,現実的な微調整を必要とするはずだ,とも思っています。軸足を動かすことなく,どう組織的な守備応対を落とし込むか。誰が,ではなくて,チームとしてクリアすべき課題かな,と思っています。


 国立霞ヶ丘でのFC東京戦,であります。


 戦い方,という意味で見れば,今節は決して小さくない手掛かりを得ている試合ではないかな,と見ています。「浦和対策」に対する処方箋を考え,ピッチに持ち込む。この処方箋が,実効性があることを示しているように思うのです。もともとの戦い方が封じられたときに,オルタナティブを使える。オルタナティブが封じられるようになれば,本来の戦い方を再び持ち出す。どちらで出てくるか,相手に絞り込ませない効果を生み出せる,そのきっかけをつかんだな,と思うわけです。であれば,このオルタナティブで勝ち点を確保,望み得るならば最大の勝ち点を確保したかったわけですが,今季のチームが抱えてきた課題,リスタートからの守備応対面の問題が大きな阻害要因になってしまった。


 この課題を,スターターは明確に認識しているようです。


 誰がこの約束事をコーディネイト「すべき」なのか(戦術的な根幹に関わるのだから,守備応対面のコーディネイトもコーチング・スタッフがすべき),という話は別途あるのかも知れないけれど,まったくコーディネイトされないよりは,コーディネイトすることが大事なのは言うまでもないこと,です。


 今季,積み上げることのできなかった勝ち点,その勝ち点にどのように守備応対面が関わってきたか,を考えれば,狙うフットボールを突き詰めること「だけ」を優先させて,放置し続けていい,という課題ではないだろうと思いますし,タイトルを現実的な目標とするのであれば,さらに大事な課題とすべきだろう,と思っています。試合終了後のコメントで,暢久選手が指摘したことは,この課題の本質的な部分でしょう。ひとへの守備応対へ移行する,その直前段階までのイメージがズレている。ライン・ブレイクするタイミングを図ろうにも,ライン(組織)に対するイメージが明確に共有されていなければ,ライン・ブレイクの意識は意味を持たないことになります。マークに対するズレ,のように見えて,実際には組織的な対応をするための約束事が落ちているために小さなズレが決定的な問題へとつながりかねない,ように思うわけです。


 攻撃面での個性,強みを抑え込む形で現実的な微調整を,と言うつもりはない。けれど,「らしさ」を表現して得点を奪っても,その得点をアドバンテージにできない守備応対であれば,「勝ち点」を着実に積み上げていくことは難しい。共有された課題,問題意識を約束事という枠組みにしていくことが大事ではないか,と思っています。