対横浜FM戦(13−23A)。

可変パッケージは,何のために構築されたか。


 「相手の強みを効果的に抑え込む(4の弱点を的確に突く)」ためであるはずです。


 自分たちの強みを表現するためには,相手の強みを抑え込むことが前提に置かれるべき,だと思っています。自分たちが狙うフットボールが表現できなかった,ということはつまり,相手が狙うフットボールを効果的に抑え込むことができなかった,相手が狙うフットボール,その術中に嵌り込んだということになりましょう。


 自分たちのフットボールを意識するのは大事だけれど,相手が狙ってくるだろうフットボールを意識することもまた,欠くことのできない要素ではないでしょうか。


 厳しい結果に終わりましたが,のアウェイ・マッチな横浜戦であります。


 敵将は,浦和がどのような戦い方を狙うか,浦和の戦い方を効果的に抑え込むためにはどのような要素を落とし込むべきか,明確な方法論を組み立てていると思います。同時に,「浦和対策」だけで戦い方を組み立ててはいない。浦和対策と,自分たちの戦い方を組み合わせている。このアプローチ,浦和にとっても必要不可欠な要素であるはずです。


 もうひとつ。浦和は先制点を奪われ,後手を踏んだ状態に追い込まれると,チームが狙うフットボールに微妙なズレが見えてしまいます。ボール・ホルダーに対して素速くアプローチを仕掛けて,という意識と,相手をしっかりと引き込んでから縦に,というように,チームとしての狙いがひとつの方向性に束ねきれなくなってしまう。そんな形に陥りがちであるように思うのです。


 2012シーズンから,2013シーズンへと進化したがための課題,かも知れませんが,ならば「原点回帰」もひとつの方法論かな,と思います。


 2012型は,攻撃的なフットボール,という目標を今季と同じく掲げてはいましたが,相手をボールへとおびき寄せ,相手のバランスを崩すことを相対的に重視した戦い方を指向していたように思います。また,守備応対面に関してもボール・ホルダーに対して強めのアプローチを掛けていくというよりは,守備ブロックが仕掛ける網へと相手を追い込むようなアプローチを仕掛けていく,という形を指向していたか,と思います。そして当然,後方ビルドアップでプレッシャーを受けるのは「狙い通り」という部分なのですから,必要以上に浮き足立たずにボールを動かすこと,中途半端な強さのパスではなくて,厳しいかも知れない強さのパスを繰り出していくこと(同時に,ボールを受ける側がしっかりとボールホルダーの視界に入ってあげること)も,大きな要素でしょう。


 この戦い方と,2013型が表現できる機動性を組み合わせて,チーム全体がしっかりと上下動を繰り返す形(ボールを大事にするフットボールを意識しているはずなのに,エリアを奪いに行く,という意識がちょっと薄く感じられるときがあって,エリアを積極的に上下動させる意識がもっとチームで高まると,また戦い方が変わってくるかな,とも思っています。)もひとつの方法論かな,と。


 攻撃的なフットボールを貫くことで,明確な「浦和対策」を凌駕できれば理想的な形ですが,あくまでも理想であって,実際には難しいはずです。どうしても,相手の強みを抑え込む(浦和対策を無効化する)必要が出てきます。そのときに2013型だけでなく,2012型も使えるならば,微調整の幅が出てくるのではないか,と見ています。


 長いシーズンを戦うにあたっては「現実主義的な微調整」が必要になる,そんな試合もあると思っていますし,カップ戦を戦うには,微調整は不可欠な要素,と言えるかも知れません。その意味で,2012型のフットボールは2013シーズンにあっても意味を持つのではないかな,と思うのです。攻撃的なフットボールを表現するためにも,守備応対面での幅は大きな鍵になるはずだし,その鍵は昨季の戦い方のなかにもあるはずだ,と思っています。