対カナダ戦(IRB・PNC2013)。

先手を取られても,焦らずに自分たちの戦い方をできる。


 小さな階段かも知れないけれど,重要な階段を上がったかな,と思います。


 ということで,楕円球方面のお話であります。瑞穂で戦われた,IRBパシフィック・ネーションズカップ,カナダ戦についてちょっとだけ書いておこう,と思います。


 秩父宮でのウェールズ戦で,チームがちょっとしたバーンアウト状態に陥ってはいないだろうか。そんな心配もどこかにあったのですが,チームはしっかりと進化していたな,と感じます。秩父宮での試合も,キャップ対象試合であったのは間違いありませんが,PNCは正真正銘の「トーナメント」です。そして,今回瑞穂で迎え撃つのは,PNC優勝を射程に収めているカナダ,です。このカナダから勝利を収められるか,はチームにとって,決して小さくない意味,単に今季PNC初勝利,というだけではない意味を持っていたように思うわけです。


 先制点を奪って,自分たちのリズムへと相手を引き込む。そんな形には持ち込めなかったものの,相手にリズムをつかませない,という戦い方ができていたかな,と思います。秩父宮での試合では,まずは相手の強みをしっかりと抑え込み,守備応対から鋭く攻撃を仕掛けていく,という戦術的な意図にはブレがなく,チームとしてのイメージが束ね上げられている,という印象が強く残っているのですが,PNCにあっても,秩父宮での「成功体験」はチームに好影響を与えているな,と感じるところです。であれば,ビハインドを背負ってはいたものの,ロースコアな(相手をノートライに抑え込んだ)状態でハーフタイムを迎えられたことはポジティブな要素であったかな,と思います。


 スコアの動きだけを見れば,かなりの接戦であります。それだけに,チーム・コンセプトに微妙なズレが出てしまうと,相手にリズムを奪い取られる可能性も高くなりますし,かつてのように「抜ける」時間帯をつくってしまえば,自分たちからゲーム・コントロールを難しくしてしまうことにもなります。長く課題となってきた,チームとしてのパフォーマンスのムラ,そのムラを抑え込めるようになってきている,と感じます。


 もちろん,まだまだ100%ではありませんし,チームとしてクリアすべき課題は当然残っています。いますが,このチームはひとつひとつの「成功体験」を積み上げながら,より難しい課題へと挑むことができている,と感じます。


 日曜日の秩父宮で,PNCを「勝って終わる」こと。目の前の階段を,着実に上がっていくこと。


 このチームがどこまで階段を上がっていけるのか,楽しみであります。