あえてブレイクダウン、のセブンズ(東京セブンズ)。

フィジカル・コンタクトをできるだけ避ける。


 パス・ワークと機動性が基盤になるのだろう,と思っていたわけですが,ヘッドコーチである瀬川さんはフィジカル・コンタクトを避けるという発想とは正反対の方向性を狙っている,と。


 今回はフットボール,ではありますが,楕円球なフットボールの話を小林さんのコラム(ラグビー・リパブリック)をもとに書いていこう,と思います。


 さて。第7戦,の前に第6戦の「香港セブンズ」の話から入ろう,と思います。


 と言いましても,コアチームへの昇格を賭けた予選であります。プールFに入っていた日本代表は3戦全勝の首位でプール・トーナメントを通過,セカンド・ラウンド進出を決めるのですが,セカンド・ラウンド初戦,プール・トーナメントですでに対戦,勝利を収めているグルジアを相手に準々決勝敗退を喫し,コアチーム昇格チーム決定大会(ワールドシリーズ終戦が開催される,イングランドがその舞台であります。)への切符を逃してしまっています。


 2016年から逆算して考えると,厳しい実戦を通じて狙う戦い方を熟成させていく,その準備が少なくとも1シーズン先送りになってしまう(2013〜14シーズンに,再びコアチーム昇格を賭けた勝負を挑まなくてはいけない),ということを意味するわけですが,コアチームに対して,セブンズ代表が狙う戦い方が機能するかどうか、を確認することはできます。その貴重な実戦機会が今週末のワールドシリーズ第7戦,「東京セブンズ」というわけです。


 で,やっと冒頭の話に戻ります。ヘッドコーチである瀬川さんは,相手とのフィジカル・コンタクトを避けることなく,接点のポイントを多くつくる,という発想で戦い方を組み立てている,とのことです。小林さんのコラムでは,桑水流選手の

 あえて数多くのブレイクダウンを作って、相手のディフェンスの裏側に半身出るようにしてボールをつなぐ。そのために、相手とは半分ズレた体勢で当たる


とのコメントが紹介されています。


 このコメントを読んで思い浮かんだのが,大西鐵之祐さんの「展開・接近・連続」理論でした。この大西理論を,瀬川さんはセブンズ的に再解釈しているのかな,と思うのです。とは言え,桑水流選手はこの戦い方での課題を明確に指摘していますし,瀬川さんはこの東京セブンズで,ブレイクダウンを積極的に使う戦い方が強豪(ニュージーランド)に対して有効な戦い方たり得るか,通用するか,というテーマをセットしているようです。


 15人制代表を率いるエディさんは,“ジャパン・ウェイ”という言葉を掲げています。日本人選手が持っている特質を最大限に引き出し,武器とする戦い方を指向する,と。瀬川さんが狙う戦い方も,広い意味で“ジャパン・ウェイ”ではないかな,と思います。ぜひとも,狙う戦い方が有効であること,通用することを「証明」してほしい,と思います。