991なGT3。

911は,NAでRRでないと。


 そして,「手強い存在」でないと。とは言いながら,RSのようにカリカリなレーシング・プリペアードではなくて,オープンロードからレース・トラックでのスポーツ走行まで,というように守備範囲の広いポルシェがいい。そんな思いを持っているポルシェ・ファナティックにとっては,まさしく理想的な最新のポルシェではないでしょうか。



 今回もフットボールを離れまして,ジュネーブショーに出展されるポルシェ911GT3についてこちらの記事をもとに,ちょっと短めに書いていこう,と思います。


 市販車の話なのに,レーシングな話になりますが。


 LM・GTEについての技術規則を読み込みながら,そして実際にGTEクラスにポルシェを持ち込んでいるレース屋さんからのフィードバックを参考にしながら,ポルシェはGT3の基本設計をしていたのではないか,と思います。かつて911に用意されていた“911T”,この役割を991なGT3は担っているのではないか,と思うのです。


 すでにポルシェは,ワンメイク・レース向けの“911GT3カップ”(911GT3に最低限のレーシングな装備を施したモデル,と見るべきでしょう。)を発表していますが,ポルシェはワンメイク・レースだけを考えてはいないだろう,と思うわけです。スポーツカー・レースの世界で長くプライベティアのレース活動を支えてきた歴史を思えば,ル・マンの技術規則は当然意識すべきものだろう,と思うのです。であれば,それほど遠くない時期にリリースされるだろう,991なGT3RSR,そのベース車両として求められる要素を落とし込んでいるのではないか,と思うのです。


 実際には,GTEクラスに持ち込まれるRSRにより近い,GT3RSが用意されるだろう,とは思います。GT3のフォルムとRSRのフォルムを比較するに,RSRほどにフェンダー・フレアは存在感を主張していませんから,恐らく技術規則上許されるタイアを収めるために,フェンダー・フレアを広げたモデルが必要になるだろう,と思うわけです。それでも,高い戦闘力を持つRSRを仕立てるにはしっかりとした素性を持ったRSが必要であり,そのRSの前提にはオリジナルのGT3に高いポテンシャルが必要,ということではないか,と思っています。


 市販車の持っている能力が,グランドツーリングカー・レーシングでの戦闘力に直結する。このことを熟知しているからこそ,ポルシェはベース車両の重要性を強く意識しているのでしょうし,モデルチェンジを機にベース車両のポテンシャルを引き上げてくるのでありましょう。