森脇選手、関口選手獲得から推理する2013型。

推理,というよりも希望的観測ではあるのですけど。


 2つの個性を持ったパッケージを用意するつもりかな,と思います。より自身の理想に近いパッケージを組むと同時に,現実主義的な部分に軸足を置いたパッケージも組める状態にする,と。リーグ戦型パッケージとカップ戦型パッケージ,ですね。


 今季,ACLを転戦してきたクラブがリーグ戦(特にリーグ戦序盤)において,なかなかリズムをつかめなかったこと,2007シーズンを振り返ってみれば,アジアを転戦したことがファースト・チームにボディ・ブローのように疲労を蓄積させるきっかけになっていて,リーグ戦連覇を手元に引き寄せかけながら取りこぼしてしまったことなどを思えば,チームが小さなユニットで組めるという保証はないし,むしろリスクが高いと見るべきかな,と思います。


 今季の戦い方を振り返ってみても,ミシャさんは主力に対する信頼感が強く,大きくパッケージを変更することはないようには思います。思いますが,来季は「小さなユニット」で乗り切れる可能性はかなり小さくなってしまうように思います。チームとしてのフィットネス,コンディションをできる限り高いレベルで維持しながら過密日程を戦い抜いていくためには,主力を構成するユニットはできるだけ大きくなくてはならないし,理想を言うならば,その大きなパッケージが戦い方の幅に直結する形であってほしい。


 そんなことを,森脇選手獲得についてのリリースと,関口選手獲得についてのリリースを読みながら思うわけです。いきなり本題に入る形で書きはじめてしまいましたが,今回はこのリリースをもとに書いていこう,と思います。


 さて。まず森脇選手です。やはり,ミシャさんは攻撃的に守備ブロックを組み立てたい,という意識があるのだな,と感じる補強です。今季の戦い方を振り返ってみるに,ディフェンスとウィンガー,と言いますかアタッキング・ミッドフィールドが攻撃面でのコンビネーションを見せていたのは,左サイドでありました。右サイドはやはり,守備的な安定性を意識しながら,という印象が強くて,坪井選手が攻撃参加を仕掛ける,としても平川選手とのコンビネーションを駆使しながら相手に対して仕掛けていく,という形ではなくて,スペースを突くような形での攻め上がりが多かったように思うのです。このバランスを,より攻撃的な方向へと持っていこう,という意図を感じる補強に見えるわけです。かつて,イビツァさんが千葉を率いていたとき,“2バック”という言葉が出てきた記憶がありますが,ミシャさんも局面,と言いますか時間帯に応じて,2バック的な形をより積極的に作り出そう,としているのだろうな,と思うのです。


 となると,です。


 リーグ戦でのパッケージは森脇選手がファースト・チョイスかな,と思ったりもするのですが,坪井選手が単純に森脇選手のバックアップになる,とは思いにくい部分もあるのです。カップ戦の存在であります。確かに,グループリーグの段階ではホーム・アンド・アウェイですし,カップ戦という印象は薄くもあるのですが,海外アウェイで「勝ち点0」を何としても避ける,という戦い方を思い出せば,攻撃面に意識が傾いてしまって守備応対面での安定性が失われるのはリスクになるな,と。むしろ,今季序盤のような,守備でリズムをつくる戦い方も意識しておくべきだろう,と思うわけです。


 続いて,関口選手です。


 正直なところ,まだ浦和でどのような使われ方になるのか,明確なイメージができないところです。であればさまざまな推理ができるところです。ともすればトップかも知れませんが,恐らくは右側のアタッキング・ミッドフィールド(アウトサイド)かな,と思います。今季の梅崎選手のようなイメージでしょうか。梅崎選手はもともと,大分で3を使っていたフットボーラーですが,そのイメージはインサイドであって,アウトサイドではありませんでした。けれど,縦へのチカラを恐らくミシャさんは見たのかな,と思います。であるならば,関口選手と3,というのはイメージが結び付かないのですが,同じく縦へのパワーを見ているのであれば,右側のアウトサイド,というのもあるのかな,と思います。今季,主戦であった平川選手とどちらがファースト・チョイスになるのか,という話とは別に,高い機動力が要求されるポジションでもありますし,アジアとリーグ戦,その2つともをしっかり射程に収めるのであれば,チームとしての機動性を落とさないためにもしっかりとしたターン・オーヴァが求められるように思います。そのための布石かな,と思うのです。


 来季,ファースト・チームがどのような意識で戦うのか。


 個人的には,優先順位(アジアか,それともリーグ戦か,という二者択一)というよりも,リーグ戦とカップ戦,それぞれの個性に応じた戦い方ができる,そんな戦力構成であってほしい,と思いますし,そのための体制を整えつつあるのかな,と(いささか好意的な見方かも,ですが)見ています。