結果も大事だけれど(ユースのことなど)。

プレミア・イーストからプリンス関東へ。


 主戦場が来季から変わってしまうことに対して,思うところがあるのは確かです。けれど,主戦場がどこなのか,ということよりも大事なことが2種チームにはあるかな,と思うのも,また確かです。


 チームが強さを維持し続ける,というのは相当に難しいことです。2種チームは戦力の入れ替わりが不可避だから,です。であれば,波が出てくるのもやむを得ない部分があるし,その波が大きくなってしまえば,降格という事態も避けられない,かも知れません。また,ファースト・チームへの昇格が常にあるとも限りません。昇格が現段階においてゼロであるとしても,ファースト・チームの戦力バランスとの「めぐり合わせ」という要素が作用しているかも知れないし,大学チームというワンクッションを経て,足らざる要素を埋めてくる,その可能性を見ているのかも知れません。


 ひさびさに,ユースの話を書いていこう,と思います。


 今季は,なかなか足を運べなかったのでありますが,今季の結果は昨季終盤からの影響が大きかったように思います。


 それまでユースを見ていた堀さんと天野さんがファースト・チームを預かるようになり(そのまま,堀さんと天野さんは今季もファースト・チームのコーチング・スタッフでありました。),今季は新たに大橋さんと広瀬さんがユースを担当することになりました。


 ここで問題としたいのが,「継続性」です。


 といっても,堀さんがユースに落とし込んでいた4−3−3という数字の話だけではなくて,「考えさせる」姿勢がどれだけ今季にあっても継続できていたか,という部分です。残念ながら,大橋さんがどのようなフットボールを指向しているのか,なかなか実際に見られなかったので,過去堀さんがどんなことをしていたのか,ということから考えてみるに,堀さんが試合中にベンチワークを仕掛けるのは必要最低限で,「動かない」という印象が強かったように思います。試合のリズムを相手に持っていかれている,主導権を握られかけているかな,と感じるような局面であっても,ベンチワークで局面打開を仕掛けていく,という印象は薄かったのです。むしろ,ひとりひとりのフットボーラーに「考えさせる」ことを求めていたように思います。


 パッケージを構成するフットボーラーはある程度固定して,長期的な熟成を図る。その熟成過程を通じて,ひとりひとりがどんなイメージを持っているのか,しっかりと感じ取ってもらう。戦術的な枠組みをカチッとはめて,結果を最優先にするというよりも,ひとりひとりの持っている能力を引き出すためのアプローチを取っていたように思うのです。コンビネーション,という部分で見ると,かなり緻密なコンビネーション・フットボールを狙っていたように思いますが,その基盤には,しっかりとお互いの個性を理解する,という部分があったように思いますし,相手に応じて,局面に応じてどうプレーを繋ぎ合わせるべきか,というインテリジェンスがあったように思うのです。


 4−3−3という数字が継続されていたかどうか,ということではなくて,ひとりひとりの能力を最大限に引き出してあげる,そんな体制を継続できていたかな,と思うのですね。堀さんが描くフットボールと,大橋さんが描くフットボールが違うのはある意味当然として,堀さんがかつてのユースに落とし込んでいた,「考えさせる」という部分をどれだけ引き継いでいたかな,と思うのです。継続的に,下部組織を追い掛けているわけではありませんから,大橋さんの手腕がどう,というのは避けたいと思いますし,下部組織は大きなピラミッドを全体として眺めていく必要性がある,と思ってもいます。ただ,アカデミーを貫く基本発想として,堀さんが徹底していたように少なくとも外野には感じられる,「考えさせる」ことが明確になっていてほしい,と思うところです。