対鳥栖戦(12−33A)。

誰がピッチに立とうと,浦和は浦和。


 ・・・ということをひとつの理想(相当な理想ではありますが。)とするならば,まだまだ距離があるな,と感じます。特に今季は少数精鋭な体制でリーグ,カップ戦を戦ってきています。浦和が表現すべきフットボールに極力ブレを持ち込まない,という意図があったかな,とは思いますが,反面で「誰がピッチに立とうと」という部分では厳しいものがあるな,と思います。当然,戦術的なタレントが違うのですから,まったく同じというわけにはいきませんが,違うことを武器とする,そんな表現が不足しているかな,と思うわけです。


 アウェイ・マッチな鳥栖戦であります。今回は簡単に。


 3失点,でありますから,守備応対面にも課題はある,と思います。と同時に,攻撃面で何らかの問題があるから,結果として守備応対面に悪影響が出ている,と感じるところがあります。ボール・コントロールを失う,その失い方と,失うエリアが大きな問題ではなかったかな,と思うわけです。


 攻撃面で手詰まり感が漂う,そんなゲームがシーズン終盤にかけて増えてしまっていたわけですが,そのときには縦にボールを動かす,その動きが抑え込まれてしまっているように感じます。縦にボールを呼び込む,攻撃面でギアを入れるような動きがなかなか出ていなかったり,センターでの手数が必要以上に増えてしまって,結果として窮屈な状態でのポゼッションからサイドにボールを「動かさざるを得なく」なってしまったり。シンプルに,機動性を活かしながら連動した攻撃を,という形が見えにくくなっていることで,相手からすればボールをどの位置で奪いに行くか,見えやすくなっているのではないかな,と感じるところがあるのです。


 相手を自分たちのフットボールへと引き込んでいくはずが,攻撃面で「らしさ」を出せないことで相手の狙うフットボールへと嵌り込んでいってしまう。まだ,シンプルに行くべき局面と,しっかりビルドアップしていくべき局面とのイメージが整理しきれないところがあるかな,と感じるところです。


 誰が攻撃面で縦のチャレンジを仕掛け,ボールを呼び込むか。あるいは,攻撃面でのアクセントとして,積極的な攻撃参加を仕掛けるか。「誰が」と書きましたが,誰かを待つフットボールを今季は狙っていない,と思うのです。誰もが仕掛けていい,と思うのですが,その仕掛けが抑え込まれているな,と思うのです。


 今季のフットボールは,「誰が」を出発点とするフットボールではないはずですが,実際には特定のフットボーラーに依存する部分が小さくない,そんな状態になっています。今節,スターターにはクレジットされていなかったフットボーラー,彼らとは違う表現方法であっても,機動性と連動性を活かした攻撃は可能なはずですし,もっとシンプルに縦を突くアプローチを表現してほしい,と思います。